海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【ネパール編】
世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。
「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。
そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!
インドラジャトラ祭で賑わう世界遺産のカトマンズ王宮広場 (C) Tomoko Ueno
ネパール在住のうえのともこさん(43歳)。
ご主人のラムさん(39歳・ネパール人)、息子のラビくん(14歳)、ラジくん(8歳)の四人家族です。
「ネパール在住12年になります。旅行で訪れたことがきっかけで語学留学し、現在の夫の旅行会社設立に携わった後に結婚。
長男出産のため一度日本に移り住みましたが、4年後に家族3人でネパールへ戻り、次男が誕生しました。
二人とも3歳からシュタイナー教育を実践するヴァルドルフスクール(日本の小学4年まで)で学んでいます。
次男は3年生。長男は小学3年生から転校し、私立校の8年生です。週1日の日本語補習校では、それぞれ中学2年生と小学2年生。
家庭では両親共に日本語、兄弟同士では主にネパール語で会話しています。
長男の学校の授業は、ネパール語以外は基本的に英語で行われています。
というわけで、言語によって文字も異なり、学習もなかなか大変なので、ゆっくりしたペースで無理のないようにと考えています」
「ネパールでは、四季のお祭りや宗教的行事を伝統に則って真面目に行います。
ヒンドゥー教徒が多いので、多くはヒンドゥー教のお祭りや儀式ですが、仏教やムスリムの祝日、各民族の暦にも大切な行事があったり、折に触れて祈願、祈祷があったりとそれぞれの家庭で様々に行われています。
ネワール族の仏教徒に伝わる女の子の通過儀礼。マルメロの実(不死身の象徴)と結婚する不思議な儀式 (C) Tomoko Ueno
家族、親戚が集う儀式も多いので、交流が密になり、自然と絆や愛情が深まっていくのがいいところだと感じていますね。
民族や家庭によっては家庭内で嫁としての厳格なルールや役割があったりするようですが、幸い嫁ぎ先はお気楽な一族なので、強制的なこと一切はなく、楽しむ程度に参加させてもらっています」
クリシュナ神聖誕祭。小さな揺り篭を揺らすと男の子を授かることができるといわれています (C) Tomoko Ueno
「日本でもベビーマッサージの教室やワークショップがありますが、家庭で毎日ケアすることが一般的ではないですよね。
こちらでは、赤ちゃんには生後すぐから毎日のようにベビーマッサージを施します。
菜種オイルをたっぷりつけ、太陽光の下、頭から足先まで全身をマッサージします。
ネパールでは一般に温水入浴の習慣がないので、赤ちゃんの肌を清潔に保ち、丈夫にすることが一番の目的です。
温かいオイルと日光で身体を温めることにより、免疫力を高め、発育もよくなります。
屋外でマッサージ中の母子。こう見えて実は冬の朝です!1日二回は行うそう (C) Tomoko Ueno
産後のお母さんもマッサージで念入りにケアされます。
産後ひと月程度は実家に戻って産褥期間を過ごすことが多いようですが、近親者や出産経験者たちが協力してマッサージや食事の面倒、赤ちゃんの世話を助けてくれます。
マッサージサロンのような特別な所に出向くというわけではありませんが、アーユルヴェーダやチベット医学に基づいた叡智が伝統的に生活習慣に取り入れられているんですね」
「日本のママたちは公共の場に子連れで出かけるときに気を使ったり、自分一人でこなさなければいけないことも多く、大変だなと感じるときがあります。
ネパールでは、親戚、ご近所が気軽に喜んで子どもの面倒を見てくれます。
特に必要がないときでも『今日も連れて来てよー、ウチのご飯を食べさせたいの』と催促されるくらいです(笑)。
フィットネスジムやレストランなど、どこでも子連れで気兼ねなく行きやすく、乗り合いバスでも子どもをひょいと膝に乗せてくれたり、老若男女みんなが子どもにフレンドリーで親しみを持って話しかけてくれるのでとても助かっています。
人情というおせっかいや、どこかのおじさん、おばさんに叱られることだってありますけどね」
「ネパールはオムツなし育児先進国かもしれません。
通年水不足の上、洗濯機の普及率も低いので、洗濯物は最小限にとどめておきたいという大人の都合と、育児に関わる家族や親戚の人数も多いので、早いうちから排泄の自立を促します。
さすがに新生児はオムツを使いますが、期間は短く、1歳に満たないような歩行し始める前の赤ちゃんでもトイレトレーニングをしています。
庭先など差し支えない場所で脚を開いて後ろから抱きかかえられて「スースー」(おしっこの赤ちゃん語)と促します。
歩行し始めた頃にはたいていパンツになっているようです。粗相をしてもささっと拭いて問題なし!という感じですね。
こちらの住居は床材のほとんどが石やコンクリート、田舎は土間です。拭き掃除がしやすく、からっとした気候なので粗相に対してそれほど神経質になることがないようです。
物干し竿にたくさんの小さなズボンがはためいているのを目にしますよ。都市部では外出時には紙おむつも使われていますが、かなり高価です!」
「児童館や図書館、格安で市民プールが利用できる日本はいいですよね。
住宅街に整備された公園や広場があったり、街路樹や花壇がきちんと手入れされていて、気持ちよく安全に遊ぶことができるのがうらましいです」
「交通ルール、歩行者優先、ゆずりあいなどのマナーが守られていて、時間通りに安全に整然と移動ができることが素晴らしいです!
一方で電車が3分遅れただけでも『ご迷惑をおかけし、お詫びします』というアナウンスは必要があるの?という疑問もありますね」
「例えば子ども手当てや医療補助、公的医療保険の制度があること。医療機関は衛生的ですし、診療も丁寧で安心できますね。
ネパールでは、医療費や救急車など全額自己負担で前払い制なので、検査、手術、入院などはとても高額になるのです。
気軽に病院に連れて行ける日本は恵まれているなあと思います」
「便利で快適な生活ができる日本ですが、待機児童の問題、電車内のベビーカーで萎縮したり、子どもらしい元気な声が騒音と捉えられるなど、厳しいところもあるようですね。
世間がもっと大らかで、些細なことはお互い様というあたたかい眼差しで見守ってもらえればと思います。
それでも水、電気、燃料、道路事情など基本的生活インフラが整い、安定していることは、子育てもし易く恵まれた環境だと思いますので、ぜひ子どもさんとの時間を楽しんでくださいね♪」
日本と海外の子育ての違い【ネパール編】、いかがでしたでしょうか。産後しばらくはママもマッサージでケアされるというのが、何ともうらやましく感じました。日本では、「マッサージでリラックスしたい!」と思っても、子どもが新生児のうちはなかなか難しいですよね。
そして「子どもは地域みんなの宝」、そんな意識を肌で感じられる環境で子育てできるネパールの温かさは日本でも見習っていきたいとしみじみ感じました。
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【アメリカ編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【フランス編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【インドネシア編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【オランダ編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【スウェーデン編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【シンガポール編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【オーストラリア編】
17/11/10
17/05/15
一覧を見る
TOP
世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。
「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。
そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!
今回取材に協力してくれたのは?
インドラジャトラ祭で賑わう世界遺産のカトマンズ王宮広場 (C) Tomoko Ueno
ネパール在住のうえのともこさん(43歳)。
ご主人のラムさん(39歳・ネパール人)、息子のラビくん(14歳)、ラジくん(8歳)の四人家族です。
「ネパール在住12年になります。旅行で訪れたことがきっかけで語学留学し、現在の夫の旅行会社設立に携わった後に結婚。
長男出産のため一度日本に移り住みましたが、4年後に家族3人でネパールへ戻り、次男が誕生しました。
二人とも3歳からシュタイナー教育を実践するヴァルドルフスクール(日本の小学4年まで)で学んでいます。
次男は3年生。長男は小学3年生から転校し、私立校の8年生です。週1日の日本語補習校では、それぞれ中学2年生と小学2年生。
家庭では両親共に日本語、兄弟同士では主にネパール語で会話しています。
長男の学校の授業は、ネパール語以外は基本的に英語で行われています。
というわけで、言語によって文字も異なり、学習もなかなか大変なので、ゆっくりしたペースで無理のないようにと考えています」
海外から見た日本の子育て「ここが不思議!」
お祭りや宗教的行事が基本自由参加
「ネパールでは、四季のお祭りや宗教的行事を伝統に則って真面目に行います。
ヒンドゥー教徒が多いので、多くはヒンドゥー教のお祭りや儀式ですが、仏教やムスリムの祝日、各民族の暦にも大切な行事があったり、折に触れて祈願、祈祷があったりとそれぞれの家庭で様々に行われています。
ネワール族の仏教徒に伝わる女の子の通過儀礼。マルメロの実(不死身の象徴)と結婚する不思議な儀式 (C) Tomoko Ueno
家族、親戚が集う儀式も多いので、交流が密になり、自然と絆や愛情が深まっていくのがいいところだと感じていますね。
民族や家庭によっては家庭内で嫁としての厳格なルールや役割があったりするようですが、幸い嫁ぎ先はお気楽な一族なので、強制的なこと一切はなく、楽しむ程度に参加させてもらっています」
クリシュナ神聖誕祭。小さな揺り篭を揺らすと男の子を授かることができるといわれています (C) Tomoko Ueno
赤ちゃんやママへのマッサージが一般的ではない
「日本でもベビーマッサージの教室やワークショップがありますが、家庭で毎日ケアすることが一般的ではないですよね。
こちらでは、赤ちゃんには生後すぐから毎日のようにベビーマッサージを施します。
菜種オイルをたっぷりつけ、太陽光の下、頭から足先まで全身をマッサージします。
ネパールでは一般に温水入浴の習慣がないので、赤ちゃんの肌を清潔に保ち、丈夫にすることが一番の目的です。
温かいオイルと日光で身体を温めることにより、免疫力を高め、発育もよくなります。
屋外でマッサージ中の母子。こう見えて実は冬の朝です!1日二回は行うそう (C) Tomoko Ueno
産後のお母さんもマッサージで念入りにケアされます。
産後ひと月程度は実家に戻って産褥期間を過ごすことが多いようですが、近親者や出産経験者たちが協力してマッサージや食事の面倒、赤ちゃんの世話を助けてくれます。
マッサージサロンのような特別な所に出向くというわけではありませんが、アーユルヴェーダやチベット医学に基づいた叡智が伝統的に生活習慣に取り入れられているんですね」
地域での子育て意識が希薄になっている
「日本のママたちは公共の場に子連れで出かけるときに気を使ったり、自分一人でこなさなければいけないことも多く、大変だなと感じるときがあります。
ネパールでは、親戚、ご近所が気軽に喜んで子どもの面倒を見てくれます。
特に必要がないときでも『今日も連れて来てよー、ウチのご飯を食べさせたいの』と催促されるくらいです(笑)。
フィットネスジムやレストランなど、どこでも子連れで気兼ねなく行きやすく、乗り合いバスでも子どもをひょいと膝に乗せてくれたり、老若男女みんなが子どもにフレンドリーで親しみを持って話しかけてくれるのでとても助かっています。
人情というおせっかいや、どこかのおじさん、おばさんに叱られることだってありますけどね」
オムツの期間が長い
「ネパールはオムツなし育児先進国かもしれません。
通年水不足の上、洗濯機の普及率も低いので、洗濯物は最小限にとどめておきたいという大人の都合と、育児に関わる家族や親戚の人数も多いので、早いうちから排泄の自立を促します。
さすがに新生児はオムツを使いますが、期間は短く、1歳に満たないような歩行し始める前の赤ちゃんでもトイレトレーニングをしています。
庭先など差し支えない場所で脚を開いて後ろから抱きかかえられて「スースー」(おしっこの赤ちゃん語)と促します。
歩行し始めた頃にはたいていパンツになっているようです。粗相をしてもささっと拭いて問題なし!という感じですね。
こちらの住居は床材のほとんどが石やコンクリート、田舎は土間です。拭き掃除がしやすく、からっとした気候なので粗相に対してそれほど神経質になることがないようです。
物干し竿にたくさんの小さなズボンがはためいているのを目にしますよ。都市部では外出時には紙おむつも使われていますが、かなり高価です!」
海外から見た日本の子育て「ここがうらやましい!」
公的機関のサービスが充実している
「児童館や図書館、格安で市民プールが利用できる日本はいいですよね。
住宅街に整備された公園や広場があったり、街路樹や花壇がきちんと手入れされていて、気持ちよく安全に遊ぶことができるのがうらましいです」
時間に正確でルールがちゃんと守られている
「交通ルール、歩行者優先、ゆずりあいなどのマナーが守られていて、時間通りに安全に整然と移動ができることが素晴らしいです!
一方で電車が3分遅れただけでも『ご迷惑をおかけし、お詫びします』というアナウンスは必要があるの?という疑問もありますね」
子育てや医療の制度が整っている
「例えば子ども手当てや医療補助、公的医療保険の制度があること。医療機関は衛生的ですし、診療も丁寧で安心できますね。
ネパールでは、医療費や救急車など全額自己負担で前払い制なので、検査、手術、入院などはとても高額になるのです。
気軽に病院に連れて行ける日本は恵まれているなあと思います」
日本の子育てママさんたちに伝えたいことは?
「便利で快適な生活ができる日本ですが、待機児童の問題、電車内のベビーカーで萎縮したり、子どもらしい元気な声が騒音と捉えられるなど、厳しいところもあるようですね。
世間がもっと大らかで、些細なことはお互い様というあたたかい眼差しで見守ってもらえればと思います。
それでも水、電気、燃料、道路事情など基本的生活インフラが整い、安定していることは、子育てもし易く恵まれた環境だと思いますので、ぜひ子どもさんとの時間を楽しんでくださいね♪」
日本と海外の子育ての違い【ネパール編】、いかがでしたでしょうか。産後しばらくはママもマッサージでケアされるというのが、何ともうらやましく感じました。日本では、「マッサージでリラックスしたい!」と思っても、子どもが新生児のうちはなかなか難しいですよね。
そして「子どもは地域みんなの宝」、そんな意識を肌で感じられる環境で子育てできるネパールの温かさは日本でも見習っていきたいとしみじみ感じました。
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【アメリカ編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【フランス編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【インドネシア編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【オランダ編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【スウェーデン編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【シンガポール編】
海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【オーストラリア編】