デキる脳は朝食から
「頭が良くて、スポーツもできて、そして人には優しくできる思いやりのある子・・・」
そんな子に育ってほしいと、子育て中の親なら皆思うもの。
そんなデキる子に育てるために一番手っ取り早くておススメなのが、
「朝食強調生活」です。
「頭が良い」のも「スポーツができる」のも、そして「人に優しくできる」のもすべて脳がうまく育った証拠です。
しかし、脳は生まれてすぐに完成するわけではありません。だいたい18年間をかけてゆっくり、段階的に育ちます。
乳幼児期には睡眠・食欲・自律神経といった生命維持装置がある「古い脳」(脳幹や間脳【視床と視床下部を合わせた領域】など、脳の芯にあたる部分:図1,2参照)が育ちます。
この古い脳を土台として、勉強、スポーツなど高度な機能を担う「新しい脳」(大脳新皮質、いわゆる 「お利口さん」の脳:図1,2参照)が育ち、最後にこの両者の神経細胞が関わり合い、シナプスを作ると人間らしい思考や判断ができる「こころの脳」 (前頭葉を使った高度な論理思考)が育ちます。
ですから、勉強やスポーツができたり、思いやりのあるこころができるためには、まず何より古い脳、すなわち、 寝て、起きて、食事をとって内臓が動く、という生命の基本機能がしっかり働くように育てることが大事なのです。
「古い脳」は、毎日の生活を規則正しく行って五感から脳に刺激を入れていれば、どんな子どもにおいても5歳ごろまでには完成します。
この脳がないと生命が維持できないからです。
でも、この「古い脳」= 土台の脳をことさらに良く育てれば、そのあとに作られる「新しい脳」「こころの脳」も完璧! デキる脳が完成するというわけです。
実は、そのカギを握る物質があります。それは、「セロトニン」という物質です(図3)。
セロトニンは不安や恐怖の感情を押さえ、穏やかな気分にしてくれる働きがあるため「癒しホルモン」などと呼ばれて、最近は一般の方にもその名前が知られるようになってきました。
しかし、もともとこの物質は 「神経伝達物質」と言われる脳内物質の仲間で、 脳のあらゆる部分に広く存在し、睡眠や食欲などといった、人間が生きていく上で基本となる働きもコントロールしている大事な物質です。つまり、「古い脳」の働きですね。
それだけにとどまらず、生まれて数年間の子どもの脳では、セロトニンはさらなる重要な役割を持っていることが知られてきました。
それは「脳を整理整頓する」働きです。
生まれてから18年間、色々な刺激を受けて神経を増やして、どんどん複雑化して育って行く脳なのですが、
あまりに神経が増えすぎてゴチャゴチャしてしまうと、大事な刺激が来たときにすぐに反応できなかったり、
せっかく記憶した知識をすぐに呼び起こせなかったりします。
そこで、あるとき脳は、増えすぎた神経たちをいっせいに整理整頓しはじめます。
そして、大事な神経回路だけを残して不要な回路は切り取る、「刈り込み」と言われる作業をするのです。
それにより、知力や心がより研ぎ澄まされた脳が出来上がっていくのです。
この「刈り込み」作業にセロトニンが重要な役割を担っている可能性が示されているのです。
具体的な例でお示ししましょう。
例えば算数の学習では、はじめは「一人3個のあめを持たせて、3人で合わせると9個」、と習っていたのが、「3+3+3=9」という 数式を覚え、その次に「3×3=9」、最後に九九を 習って「さざんがく」と素早く計算ができるよう積み上げられていきます。
この際に脳の中では、たくさんの計算方法が、それぞれ神経細胞のつながり、シナプスとして順次作り上げられていきますが、さざんがく、 を何回も唱えて脳に刺激として繰り返し取り込むことで、最終的に「速く、正確に」正解にたどり着く九九 のつながりが最も太く、しっかりと鍛え上げられて残され、その他は細いつながりのままか、刈り込まれてしまいます(図4)。
いわゆる「学力」の向上にとって、この刈り込み現象はとても大切なのです。
以上のことから、特に、生まれた後の脳を良く育てて、知力と心、両方がバランスよく備わった子どもを育てるためには、
1.古い脳をしっかり育てる生活を送ることと
2.「セロトニンを増やす」ことを心がけること の二点が大事であることがお分かりいただけたでしょう。
では、この二つのポイントをきちんとクリアする生活とは、 いったいどんなものなのでしょう。
実はこのどちらにも、「朝食」が密接に関わっているのです。
古い脳を育てることとは「五感からしっかり刺激を 入れて生活をする」ことです。
朝は太陽の光と共に 目覚め、昼間は体をたくさん動かして遊び・学び、夜 はぐっすりしっかり眠って消化を促す。
だから起床ととも に空腹を感じる。
つまり、朝から「おなかすいた!」と言って朝食をたくさん食べられる子どもは、古い脳が良く育った子ということなのです。
朝食を食べているとき、 人間は五感をフルに使います。
朝陽を浴びれば視覚から脳に刺激が入ります。
朝陽いっぱいの明るい部屋で朝食を食べれば、鳥の声や食器の音、家族の話し声(聴覚)、おいしそうな盛り付け(視覚)、舌と鼻をくすぐる味と匂い (味覚と嗅覚)、暖かい・冷たい舌触り(触覚)といった五感がすべて刺激されるのです。
さらに、家族で顔をきちんと見つめ合い、お話しをたくさんしながら、おはしやスプーンなどを使って指を細かく動かすことで、言語やスポーツなど高度な「新しい脳」を育てる刺激にもなりますから、知力や最終的に人間らしいこころを形成するのにも直結します。
一方、セロトニンは遺伝子から作られるわけではありません。トリプトファンという必須アミノ酸から体内で合成されます。
ということは、食事からトリプトファンをしっかり摂取しなければ、そもそも、刈り込み現象などのセロトニン神経の活躍は期待できないのです。
さらに、セロトニンは、毎朝5時~7時ごろに一回だけしか作られません。
この時間帯に、セロトニンの材料であるトリプトファンをしっかり補給することがとても大切なのです。
同時に朝陽を目からしっかり刺激として入れ、リズミカルに体を動かすと、さらに効果的にセロトニンを増やすことができます。
セロトニンが増えた脳は、古い脳の働きがしっかりしているだけでなく、刈り込みが進んでより正確に素早く課題を処理でき、心も穏やかで不安が少ない、バランスが取れた脳です。
ですから、すべての脳育ての基本は朝食に集結しているといっても過言ではありません。
家族そろって 朝陽を浴びながらおいしい朝食をたっぷりいただく生活は、子どもの「デキる」脳育ての一番の早道、と心得て、できるだけ毎朝家族みんなで食卓を囲む朝のひと時を持ちましょう。
炭水化物はブドウ糖として神経細胞の栄養源になります。
タンパク質は、セロトニンの原料であるトリプトファンをはじめ、様々な脳内物質の基となります。
ビタミン・ミネラル・微量元素もそれぞれ脳内で神経伝達物質を作るのを助けたり、神経組織の構築を支えたりします。
シリアルに牛乳とバナナを加えると、 上記の栄養素がすべてバランスよく含まれます。
お母さんが寝込んでしまったとき、または朝練で今日は早く家を出なきゃ!といった場合でも、『シリアル+牛乳+ バナナ』というメニューであれば、子ども自身でも用意することができます。
この組み合わせは、時間がないときでも簡単に用意でき、子どもの脳育てにもしっかり役立つ、とてもお勧めのメニューです。
文教大学 教育学部 特別支援教育専修 教授 /成田 奈緒子
1987年 神戸大学医学部卒業 医学博士・小児科専門医 米国セントルイスワシントン大学・獨協医科大学越谷病院小児科・筑波大学基礎医学系を歴任し、 2009年より現職。一般病院での小児期のさまざまな精神心理疾患の外来診療にも携わっている。 2014年からは医学・心理・教育・福祉を包括した専門家集団による 新たな親支援事業「子育て科学アクシス」を開設、代表に就任。 また、文部科学省や東京都教育委員会などで子どもの生活習慣を科学的に考える育児、 教育への提言・社会活動を行っている。 著書:『「睡眠第一!」ですべてうまくいく』(双葉社)、『早起きリズムで脳を育てる』(芽ばえ社)他
記事協力:日本ケロッグ合同会社“Kellogg’s Update (ケロッグアップデイト)”より
成長期の子どものことを徹底的に考えて作られた
日本初の「子ども向け」グラノラ
「フロスティ 成長応援グラノラ」は、日本初の「子ども向け」グラノラです。
オーツ麦、小麦、米、大豆、とうもろこしの 5 種類の穀物、子どもに人気のいちご、 りんご、ももの 3 種のフルーツを使用しており、成長期の子どもに必要な 9 種の ビタミンや鉄分に加え、特に大事な栄養素であるたんぱく質も摂れ、栄養バランスが満点です<栄養機能食品(ビタミン B1)>。
関連記事ー いい子に育つ”育脳朝食”のすすめ〜「かしこい脳は毎日の食事でつくられます」
17/11/10
17/05/15
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「頭が良くて、スポーツもできて、そして人には優しくできる思いやりのある子・・・」
そんな子に育ってほしいと、子育て中の親なら皆思うもの。
そんなデキる子に育てるために一番手っ取り早くておススメなのが、
「朝食強調生活」です。
「頭が良い」のも「スポーツができる」のも、そして「人に優しくできる」のもすべて脳がうまく育った証拠です。
しかし、脳は生まれてすぐに完成するわけではありません。だいたい18年間をかけてゆっくり、段階的に育ちます。
乳幼児期には睡眠・食欲・自律神経といった生命維持装置がある「古い脳」(脳幹や間脳【視床と視床下部を合わせた領域】など、脳の芯にあたる部分:図1,2参照)が育ちます。
この古い脳を土台として、勉強、スポーツなど高度な機能を担う「新しい脳」(大脳新皮質、いわゆる 「お利口さん」の脳:図1,2参照)が育ち、最後にこの両者の神経細胞が関わり合い、シナプスを作ると人間らしい思考や判断ができる「こころの脳」 (前頭葉を使った高度な論理思考)が育ちます。
ですから、勉強やスポーツができたり、思いやりのあるこころができるためには、まず何より古い脳、すなわち、 寝て、起きて、食事をとって内臓が動く、という生命の基本機能がしっかり働くように育てることが大事なのです。
「古い脳」は、毎日の生活を規則正しく行って五感から脳に刺激を入れていれば、どんな子どもにおいても5歳ごろまでには完成します。
この脳がないと生命が維持できないからです。
でも、この「古い脳」= 土台の脳をことさらに良く育てれば、そのあとに作られる「新しい脳」「こころの脳」も完璧! デキる脳が完成するというわけです。
実は、そのカギを握る物質があります。それは、「セロトニン」という物質です(図3)。
セロトニンは不安や恐怖の感情を押さえ、穏やかな気分にしてくれる働きがあるため「癒しホルモン」などと呼ばれて、最近は一般の方にもその名前が知られるようになってきました。
しかし、もともとこの物質は 「神経伝達物質」と言われる脳内物質の仲間で、 脳のあらゆる部分に広く存在し、睡眠や食欲などといった、人間が生きていく上で基本となる働きもコントロールしている大事な物質です。つまり、「古い脳」の働きですね。
それだけにとどまらず、生まれて数年間の子どもの脳では、セロトニンはさらなる重要な役割を持っていることが知られてきました。
それは「脳を整理整頓する」働きです。
生まれてから18年間、色々な刺激を受けて神経を増やして、どんどん複雑化して育って行く脳なのですが、
あまりに神経が増えすぎてゴチャゴチャしてしまうと、大事な刺激が来たときにすぐに反応できなかったり、
せっかく記憶した知識をすぐに呼び起こせなかったりします。
そこで、あるとき脳は、増えすぎた神経たちをいっせいに整理整頓しはじめます。
そして、大事な神経回路だけを残して不要な回路は切り取る、「刈り込み」と言われる作業をするのです。
それにより、知力や心がより研ぎ澄まされた脳が出来上がっていくのです。
この「刈り込み」作業にセロトニンが重要な役割を担っている可能性が示されているのです。
具体的な例でお示ししましょう。
例えば算数の学習では、はじめは「一人3個のあめを持たせて、3人で合わせると9個」、と習っていたのが、「3+3+3=9」という 数式を覚え、その次に「3×3=9」、最後に九九を 習って「さざんがく」と素早く計算ができるよう積み上げられていきます。
この際に脳の中では、たくさんの計算方法が、それぞれ神経細胞のつながり、シナプスとして順次作り上げられていきますが、さざんがく、 を何回も唱えて脳に刺激として繰り返し取り込むことで、最終的に「速く、正確に」正解にたどり着く九九 のつながりが最も太く、しっかりと鍛え上げられて残され、その他は細いつながりのままか、刈り込まれてしまいます(図4)。
いわゆる「学力」の向上にとって、この刈り込み現象はとても大切なのです。
以上のことから、特に、生まれた後の脳を良く育てて、知力と心、両方がバランスよく備わった子どもを育てるためには、
1.古い脳をしっかり育てる生活を送ることと
2.「セロトニンを増やす」ことを心がけること の二点が大事であることがお分かりいただけたでしょう。
では、この二つのポイントをきちんとクリアする生活とは、 いったいどんなものなのでしょう。
実はこのどちらにも、「朝食」が密接に関わっているのです。
古い脳を育てることとは「五感からしっかり刺激を 入れて生活をする」ことです。
朝は太陽の光と共に 目覚め、昼間は体をたくさん動かして遊び・学び、夜 はぐっすりしっかり眠って消化を促す。
だから起床ととも に空腹を感じる。
つまり、朝から「おなかすいた!」と言って朝食をたくさん食べられる子どもは、古い脳が良く育った子ということなのです。
朝食を食べているとき、 人間は五感をフルに使います。
朝陽を浴びれば視覚から脳に刺激が入ります。
朝陽いっぱいの明るい部屋で朝食を食べれば、鳥の声や食器の音、家族の話し声(聴覚)、おいしそうな盛り付け(視覚)、舌と鼻をくすぐる味と匂い (味覚と嗅覚)、暖かい・冷たい舌触り(触覚)といった五感がすべて刺激されるのです。
さらに、家族で顔をきちんと見つめ合い、お話しをたくさんしながら、おはしやスプーンなどを使って指を細かく動かすことで、言語やスポーツなど高度な「新しい脳」を育てる刺激にもなりますから、知力や最終的に人間らしいこころを形成するのにも直結します。
一方、セロトニンは遺伝子から作られるわけではありません。トリプトファンという必須アミノ酸から体内で合成されます。
ということは、食事からトリプトファンをしっかり摂取しなければ、そもそも、刈り込み現象などのセロトニン神経の活躍は期待できないのです。
さらに、セロトニンは、毎朝5時~7時ごろに一回だけしか作られません。
この時間帯に、セロトニンの材料であるトリプトファンをしっかり補給することがとても大切なのです。
同時に朝陽を目からしっかり刺激として入れ、リズミカルに体を動かすと、さらに効果的にセロトニンを増やすことができます。
セロトニンが増えた脳は、古い脳の働きがしっかりしているだけでなく、刈り込みが進んでより正確に素早く課題を処理でき、心も穏やかで不安が少ない、バランスが取れた脳です。
ですから、すべての脳育ての基本は朝食に集結しているといっても過言ではありません。
家族そろって 朝陽を浴びながらおいしい朝食をたっぷりいただく生活は、子どもの「デキる」脳育ての一番の早道、と心得て、できるだけ毎朝家族みんなで食卓を囲む朝のひと時を持ちましょう。
炭水化物はブドウ糖として神経細胞の栄養源になります。
タンパク質は、セロトニンの原料であるトリプトファンをはじめ、様々な脳内物質の基となります。
ビタミン・ミネラル・微量元素もそれぞれ脳内で神経伝達物質を作るのを助けたり、神経組織の構築を支えたりします。
シリアルに牛乳とバナナを加えると、 上記の栄養素がすべてバランスよく含まれます。
お母さんが寝込んでしまったとき、または朝練で今日は早く家を出なきゃ!といった場合でも、『シリアル+牛乳+ バナナ』というメニューであれば、子ども自身でも用意することができます。
この組み合わせは、時間がないときでも簡単に用意でき、子どもの脳育てにもしっかり役立つ、とてもお勧めのメニューです。
文教大学 教育学部 特別支援教育専修 教授 /成田 奈緒子
1987年 神戸大学医学部卒業 医学博士・小児科専門医 米国セントルイスワシントン大学・獨協医科大学越谷病院小児科・筑波大学基礎医学系を歴任し、 2009年より現職。一般病院での小児期のさまざまな精神心理疾患の外来診療にも携わっている。 2014年からは医学・心理・教育・福祉を包括した専門家集団による 新たな親支援事業「子育て科学アクシス」を開設、代表に就任。 また、文部科学省や東京都教育委員会などで子どもの生活習慣を科学的に考える育児、 教育への提言・社会活動を行っている。 著書:『「睡眠第一!」ですべてうまくいく』(双葉社)、『早起きリズムで脳を育てる』(芽ばえ社)他
記事協力:日本ケロッグ合同会社“Kellogg’s Update (ケロッグアップデイト)”より
成長期の子どものことを徹底的に考えて作られた
日本初の「子ども向け」グラノラ
「フロスティ 成長応援グラノラ」は、日本初の「子ども向け」グラノラです。
オーツ麦、小麦、米、大豆、とうもろこしの 5 種類の穀物、子どもに人気のいちご、 りんご、ももの 3 種のフルーツを使用しており、成長期の子どもに必要な 9 種の ビタミンや鉄分に加え、特に大事な栄養素であるたんぱく質も摂れ、栄養バランスが満点です<栄養機能食品(ビタミン B1)>。
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