【待機児童問題】~第4回~ 減らない待機児童どうすればいいのか?

株式会社 ニコ・ワークス

【待機児童問題】~第4回~ 減らない待機児童どうすればいいのか?

2015/08/07 【待機児童問題】~第4回~ 減らない待機児童どうすればいいのか?

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2015年4月から、「子ども・子育て支援新制度」が全国で始まりました。「待機児童の解消」が高らかにうたわれてますが、その解釈や運用の仕方はそれぞれの自治体に任されています。また、住んでいる地域によっても子育ての環境が異なることが問題になっています。

今回はシリーズで、その背景にある待機児童の問題について、その現状と実態を紹介していきたいと思います。

(前の記事)【待機児童問題】~第1回~ 待機児童って? 

      【待機児童問題】~第2回~ まさかの待機児童!?

      【待機児童問題】~第3回~ ママたちの叫び


 

 

減らない待機児童どうすればいいのか?

新米ママ「いろいろな実態はわかってきたけれど、待機児童問題はどのような対策が取り組まれているのかしら?」

先輩ママ「認可保育園、認証保育園、認定こども園の他にも、待機児童解消や多様なニーズに答えられるような「新しい保育環境」の整備が進んでいるそうよ。」

1)小規模保育所

「小規模保育園」の立ち上げが進んでいます。小規模保育園は条件を満たせば、空き家やマンションで開園することができます。認可保育園は定員が20人以上でないと認可されません。これに対して小規模保育所は、6~19人の保育所で、対象は0~2歳です。小規模で少人数で子どもと密にコミュニケーションをとることができます。また、職員の数も0歳児3人に対して保育士1人、1~2歳児6人に対して保育士1人という認可保育所の基準よりも手厚くなっています。

 ただし、3歳児になる時に転園しなければならず、「保活」が必要になります。

2)保育ママ(家庭的保育事業)

両親の就労などで保育に欠け、保育所に入所できない、0歳~2歳の児童を保育者の家などで保育する施設です。保育ママは、保育士や幼稚園教諭、看護師、助産師、保健師などの資格者から地方公共団体が認定する。国の家庭的保育事業では2010年4月より規制が緩和され、無資格者であっても一定の研修を履修する事で資格要件を満たせば保育ママとして施設を運営できるようになりました。保育ママを利用する場合でも3歳児になる時点で「保活」が必要です。

3)事業所内保育所

 事業所内保育所(託児所)は、企業内または事業所に用意された、育児中の従業員向けの託児施設です。子育てをしながら働く従業員が安心して働けるようにすることです。職場に近いので休憩中に授乳できたりなどの利点はありますが、通勤ラッシュに時に時間をかけて、子どもと共に電車やバスに乗って移動すること困難さの問題などがあります。

 

 

待機児童 ままのできることは?

新米ママ「保育園に入園できるかできないかは働きたい私にとってはとても重要なんだけれど、待機児童の問題に対して、私たちママにできることは何かないのかしら?」

先輩ママ「万が一、待機児童になってしまった場合は、入所決定を待つだけでなく、役所に足を運んで、空き状況を確認したり、担当の人とママやお子さんの現状や困難さを知らせたりするといいって聞いたわ。」

新米ママ「ただ待っていても決まらないっていうことなのね。」

先輩ママ「運よく途中入所が決まるってどんな時かわかる?」

新米ママ「うーん?空きが出たから」

先輩ママ「ということは、誰かが保育園を退園したということよ。」

退園は、引越しや転勤、離婚などが理由となるため、いつ空きがでるかはわからないのです。保育園を辞める理由は、人それぞれなのでいつ空きが出るかは、分かりません。

空きが出ると、途中入園の通知が役所から来ますが、1年待つくらいの覚悟が必要です。

運がよく空きが出た場合、2週間後に保育園の入所となります。

 1年間、待機していると、新年度一斉申し込みの際に、多少は優遇されるようです。

 

待機児童解消に向けて

現在、厚生労働省は、「待機児童解消加速化プラン」で、2014年度末までを「緊急集中取組期間」として保育園の定員を20万人分増やし、その後の3年間でさらに20万人増やすことで、保育ニーズのピークを迎える2017年度末までに待機児童ゼロを目指しています。

2015年は、緊急集中期間(2,013年度~2015年度) 緊急プロジェクト 

支援パッケージ~5本の柱~として

取組自治体に対して

①賃貸方式や国有地も活用した保育所整備(「ハコ」)

②保育の量拡大を支える保育士確保(「ヒト」)

③小規模保育事業など新制度の先取り

④認可を目指す認可外保育施設への支援

⑤事業所内保育施設への支援

保育緊急確保事業その他の消費税財源を用いた施策として行うほか、所要の財源を検討中です。

また、安倍首相は「3年間抱っこし放題での職場復帰を総合的に支援する」とし、現在は最長で1年半の育休期間を3年間に延長するよう経済団体にも要請しています。

待機児童解消にむけて、保育所の数や定員を増やすこと、多様な保育ニーズに答えること、保育士の数の確保も重要です。
 

社会全体で子育てを

少子高齢社会の中で、日本の社会保障給付費の70%は高齢者向け。子育て関連は3〜5%にすぎません。日本は欧州諸国に比べて、子育てにやさしくない環境といえます。少子化対策を進めるなら、保育園を増やす、保育園の定員を増やす対策が必要です。国だけの予算でなく、保育の受け皿を拡充するために自治体ごとの保育財源の拡充が必要です。
 また、保育園以外にも、地域で子育てをサポートするシステムを充実させて、待機児童とママの子育てを支援することが必要なのだと思います。
 保育の福祉サービスを受けるのは、子どもが社会全体の次世代を担う役割だからです。すべての子どもが保育をうけられる社会、みんなで子どもを育む社会に向けて取り組んで行きたいものです。

 

(完) 

(文/関本初子)



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Makkin Corporation プランナー /関本 初子

 公立保育園勤務10年の後、学童や子ども塾、認可外保育所、事業所内保育所、院内保育所等、数々の施設長を通じ、2000人余りの子どもたちとその両親の成長をサポート。その他、専門学校非常勤講師、保育士資格取得講座講師として、保育士の育成にも関わる。アドラー心理学 親と子のカウンセリング スマイルリーダーとして、「勇気づけの子育て支援」をベースとした、企画・実践に定評がある。

 

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