RSウイルスって知っていますか?

株式会社 ニコ・ワークス

RSウイルスって知っていますか?

2014/09/16 RSウイルスって知っていますか?

2014916163850.jpeg

これから秋から冬場にかけて流行する感染症。そのなかで『RSウイルス感染症』についてご存知ですか?インフルエンザや水ぼうそう、おたふくかぜなど、一般に耳慣れた感染症に比べて、多くの乳幼児のママたちは、この感染症については認知度が低いようです。

そこで今回は、RSウィルスおよびその感染について正しく理解してみましょう。

 

 RSウィルス感染症とは

 RSウイルス(Respiratory Syncytial Virusの略)は、毎年冬に流行する「かぜ」の原因となる一般的なウイルスの1つです。乳幼児が最も感染しやすいウイルスでもあり、1歳の誕生日までに70%の乳児が初感染し、2歳までには100%の乳幼児が感染すると言われています。初めてRSウイルスに感染した乳幼児の25~40%が、下気道炎(気管支炎、肺炎、細気管支炎など)になり0.5~2%が重症化して入院します。先進国では、乳幼児が入院する原因の第1位であると言われており、日本では年間2~3万人の入院があると推測されています。 

 

流行する時期は?

 RSウイルスは秋から春までというかなり長い期間にわたり流行が続きます。流行のピークは12月~1月頃で、通常インフルエンザの流行時期よりも早くピークを迎えます。 

 

RSウィルス感染症の症状

 RSウイルスの感染には、飛沫経路と接触経路の2経路があります。感染者の鼻汁や痰に含まれるRSウイルスを吸い込んだり、RSウイルスが付着した皮膚、衣服、おもちゃなどに触れることにより、眼や鼻の粘膜にウイルスが付着して感染します。健康な成人や幼児期以降の小児が感染すると、軽い鼻かぜ程度の症状で治まります。通常健康な乳幼児が感染すると、感染から4~5日後に、38~39.C程度の発熱、鼻水、咳など普通のかぜの症状が出て、多くは8~15日くらいで治まります。発熱しない児もいます。 

 

しかし、生後6ヵ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患などの基礎疾患をもっている乳幼児が感染すると、症状が重症化しやすく、肺炎や細気管支炎などの呼吸器感染症や無呼吸を引き起こし、最悪の場合、死亡することもあります。 

201491616521.png

 

RSウイルス感染症の予防

RSウイルスは、一度感染しても持続的な免疫ができにくいため、ワクチンの開発は難しく、残念ながら予防ワクチンは存在しません。また、効果的な治療薬が存在しないため、RSウイルスに感染してしまった場合は症状を抑える対症療法が中心となっています。このことから、RSウイルスに感染しないよう対策を取ることが重要となります。 

 

 RSウイルスは非常に感染力が強く、ウイルスがテーブル、ドアノブ、手すりなどに付着してから4~7時間は感染力をもっています。そのため、人が集まる場所に行った後はよく手を洗う、アルコール消毒をする、うがいをすることが大切です。また保育施設などに通う兄姉がいる場合には、兄姉からの家庭内での感染の可能性が高まることから、家庭での対策も重要となります。普段から、下記のような日々の予防対策を積極的に行いましょう。

 

◎ 家族の外出の後や調理・食事の前、鼻をかんだ後などはよく手を洗う。 手洗いは石鹸で30秒間指先~指と指の間までしっかりと洗う。 

 

◎ RSウイルスが流行する冬の時期は、乳幼児を人ごみへ連れて行かない。 

 

◎ 家庭内にかぜをひいている人がいるときは、乳幼児に近づけず、また乳幼児が触れるものを アルコール綿などでこまめに消毒する。 

 

◎ かぜをひいている家族は、マスクを着用し、唾液や鼻水が飛び散らないように気をつける。 

 

◎ タバコを吸う人に近づけない。また、こどもがタバコの煙を吸わない環境にする。 

 

出典: The Journal for Infection Control Team; Vol.3, No.2, 2008 :180-184 

 

 

RSウイルス感染症が重症化しやすい早産児

早産児とは在胎期間(母親のお腹にいた期間)が37週未満で産まれた赤ちゃんのことを言います。通常、赤ちゃんは40週間前後母親のお腹にいることで外界に出てくる準備が整います。そのため、在胎37週未満で産まれてきた赤ちゃんは体の機能が未熟です。早産児は、早く産まれてきた分、母親から受け取る抗体も少なく、また呼吸器の機能が未発達なため、重症化する危険性が高くなります。生まれつき呼吸器に病気を持っている赤ちゃんも、同様に注意が必要です。

 

 

 


出典:アッヴィ合同会社 「RSウイルス感染症ファクトシート」

 

 

TOP