こころと脳を育むスキンシップ(1/2)

株式会社 ニコ・ワークス

こころと脳を育むスキンシップ(1/2)

2017/10/20 こころと脳を育むスキンシップ(1/2)

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>>こころと脳を育むスキンシップ(2/2)

 

今号の特集は、赤ちゃんにもママにもおすすめしたい、肌と肌が触れ合うスキンシップをご紹介します。こころと体の疲労感を優しくほぐしてくれて、脳や体を育てるのにとても大切な働きをしてくれます。

 

スキンシップのすごい効果

・硬くなった筋肉をほぐし、血行を良くして全身を温める。リンパにも効くので免疫力を高める。

・五感の中の『感覚』を刺激し、触った物への認識や感情コントロールする脳にダイレクトに働きかける。

・安心感が芽生え、落ち着いて安定した精神をつくる。

・信頼関係を築く力が働き社会性を高める。

 

こころ、体、脳の3つに効果を発揮する。話題の成長ホルモン

「オキシトシン」。肌にふれることで分泌される。

 

肌のふれあいで分泌される安心感と親密な関係を築くホルモン

3月に起きた大震災の影響で、妊娠中の方や赤ちゃんをお持ちのご家族は、不安な日々を過ごされたと思います。余震や放射能の問題がストレスとなり、疲れてしまった方も少なくないでしょう。

 

ストレスとは、体が戦闘状態にあり、筋肉もこころも緊張している状態です。これが続いて普通になってしまうと体が消耗し、遺伝子も傷つけられ免疫力が低くなってしまうこともわかっています。

 

ストレスを感じたら、一刻も早くリラックスし、癒すのが良いのですが、じつは、人間は意図的に自分から癒されようと思わないと、なかなか癒されないのです。そのまま放っておくとストレスを感じなくなり、「治った」と勘違いしてしまいますが、実際は、ストレスは溜まり続けています。

 

震災後、読者から「赤ちゃんの夜泣きがひどくなった」「突然、赤ちゃん返りした」「下痢が続いた」というお便りが届きました。我が家でも2歳の子どもが抱っこをせがむ回数が増えたり、7歳の上の子は手を握っていないと寝られませんでした。

 

そいういうときは、いつもよりもスキンシップを多くするよう、心がけてください。子どもが小さければ小さいほど、スキンシップが必要になります。では、スキンシップがこころと体を癒すメカニズムをご紹介いたします。

 

皆さんは「オキシトシン」という名前をご存知ですか?

 

出産を促したり、母乳を出すときに必要なホルモンですが、スキンシップ=肌と肌とのふれあいに。このオキシトシンが大きく関与していることが、近年の研究でわかり、今大変注目を浴びています。

 

オキシトシンが分泌されると、脳の中で、「人との親密な関係を築く」「愛情を高める」「安心感を生む」といった、信頼性や親密な関係を築くように促されるためこころが落ち着き、情緒が安定するのです。

 

それだけではありません。

皮膚を刺激することで、皮膚が感知したことをダイレクトに脳へ働きかけ、様々な知覚(硬い柔らかい、熱い冷たい、形など)ばかりでなく、感情の中枢まで広く伝わるため、やる気や知性が発達します。

 

これが、こころを生み出すのに最も大切で基盤となるので、そこが生き生きと働くことで、将来的にも心が生き生きとしていきます。

つまり、肌に直接触れることで、こころと脳に、たくさんいいことが起きるというわけです。

 

スキンシップの方法ですが、大人なら街にあるようなマッサージを利用してもいいし、家族に肩をもんでもらうのもおすすめです。赤ちゃんならお父さんやお母さんが。妊娠中の方ならご自分がダンナさまにやってもらいましょう。

 

マッサージをしてもらうと、すごく安心して、癒され体験ができるはずです。

 

スキンシップの所用時間は、5分前後でOK

 

この時間はオキシトシンが分泌されるピークだからです。

ピークを過ぎてもオキシトシンの量は変わらないので、5分以上やっても効果はあまり高まりません。ポイントは、短時間で常にやること。

 

日常生活の中で、常に肌にふれることを心がけておきましょう。

>>こころと脳を育むスキンシップ(2/2)

 


臨床発達心理士

山口創先生

1967年 静岡県生まれ。桜美林大学リベラルアーツ学群准教授。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は臨床心理学・身体心理学。著書『子どもの「脳」は肌にある』光文社、『脳とからだにいいことずくめのベビーマッサージ』PHP研究所、ほか多数。

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