かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談(番外編)
乳幼児期にはよく問題になる、かみつきやひっかき。やられる子、やる子、それぞれの悩みがあると思います。可愛いわが子を守りたい気持ちは、どのママも同じ。しかし、感情的になる前に、一歩ひいた視点で考えてみたいことがあります。
前編では「やられる子」側について、後編では、「やる子」側について考えてみました。今回は、寄り道になるからと省いた、ケンカやトラブルについての体験談をご紹介したいと思います。
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (前編)
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (後編)
恥ずかしながら筆者は、息子があまりにもやられる側だった幼児のときに、「やられたらやり返してもいいんだよ!」と言っていたことがありました。
大人がとめてくれるまでやられっぱなしで、ときには嫌なのに相手の前で笑ってしまうことさえある息子が痛々しかったのです。
息子は「それはダメだって、先生が言ってた」と応じなかったのですが、いつまでも先生が守ってくれるわけではない、小学校に入ったら先生の目はそこまで届かない、自分の身は自分で守らないといけない、と本気で思っていたのです。
保育園ではやり返すことのなかった息子ですが、小学校に入ってからは変わりました。
数か月に1回は同級生とのトラブルで先生から電話があったり、傷つけた相手の子の家に謝りに行ったりしました。
そう、息子は「やられたらやり返す」子になってしまったのです。
かつて自分がそうしていい、と言っていたものの、いざ本当にそうなると困りました。
「やられたらやり返す」を続けるかぎり、きりがありません。相手も自分も傷つきます。
息子と向き合い「ごめんなさい。ママが間違ってた」と話したのですが、当の息子は昔母にそんなことを言われたことは全く覚えていなかった様子。
ただ、気持ちが抑えられない状態になってしまうのだそうです。
そんな息子を見守りながら、先生と連携をとりながら、根気よく諭すしかなかったのですが、それでも2年生になる頃には落ち着きました。
息子だけでなく、周りでも似たようなケースを少なくとも5件は見聞きしています。時間が解決してくれることもあるのだと感じました。
しかし、「やられたらやり返す」を推奨した自分の無知に関しては、いまだに恥ずかしく感じ、反省の日々です。
大袈裟かもしれませんが、今日ある戦争やテロも、根底にはこの考えがあるような気がしてなりません。
もうひとつお伝えしたいエピソードは、保育園時代に出会った二人の「しっかりしている、いい子」のお話です。
一人は、息子と同じクラスでした。リーダー格のしっかりした子で、いつも忙しくお迎えの遅いママからも「しっかりしていて助かる」と言われていました。しかし、筆者が息子を迎えに行くと、毎日のようにその子が、「今日も○○は悪い子だった」と息子のことを報告にくるのです。
しっかりもののその子が言うことです、実際息子は空気が読めないタイプなので、一体どんなことをしちゃったんだろうと聞くのですが、具体的な行動を教えてくれたことは一度もありませんでした。
息子に聞いても「わからない」と答えるし、先生に聞いても「二人はいつも別々に遊んでいるのでよくわからない」と言われます。
腑に落ちないまま3か月ほどが過ぎたのですが、あるときからぴたりとそれがなくなりました。
それは、仕事の関係で、今まで早めにお迎えしていた筆者が通常のお迎え時間になったのと同時だったのです。
今では思うのです。彼女はきっと、淋しかったのではないかと。
二人目の「しっかりしている、いい子」は、ママと一緒に弟のお迎えにくる小学生の男の子です。
もともと本人も同じ保育園出身なので、彼がしっかりしていて、いいお兄ちゃんだという評判は知っていました。
しかしその子はなぜか、年が3つも違う息子に「相撲しよう」と誘ってくるのです。
それがエスカレートして「たたく・蹴る」のケンカになる、ということがよくありました。
毎回仲裁するのも疲れてきて、その子と会わないように、お迎えにきたらさっさと帰るようにしていた時期もありました。
ずっと後になって、その子が小学校でいじめられていたということを知ります。
クラスの先生も、お母さんも長い間知らなかったそうです。
ある日耐えきれず教室で泣き叫んで、初めてずっと我慢していたことがわかったといいます。
「しっかりしている、いい子」が違和感のある行動をしたとき、きっと裏で何か我慢していることがあるはずだと、今ではそう思うのです。
そして、自分の子どものことでせいいっぱいで、相手のSOSに気づけなかったことを、今になって悔やむのです。
いかがでしたでしょうか。
「ずっと先の話だな」と感じた方、「うちの子はそういったトラブルはないな」と思った方、いろいろだと思います。
しかし、あえて小学生にまでわたる話をしたのは、大きくなってからトラブルを乗り越える力は、小さい頃身近な人と信頼感やきずなといった土台を築いてきたかどうかにかかっていると思うからです。
多かれ少なかれ、どんな子にも、トラブルはきっと起こります。
そのとき、我が子が自分で乗り越える力を蓄えるために、「大切にされている」「自分の気持ちを聞いてくれる」と感じられる今の毎日が大切なのではないでしょうか。
17/11/10
17/05/15
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乳幼児期にはよく問題になる、かみつきやひっかき。やられる子、やる子、それぞれの悩みがあると思います。可愛いわが子を守りたい気持ちは、どのママも同じ。しかし、感情的になる前に、一歩ひいた視点で考えてみたいことがあります。
前編では「やられる子」側について、後編では、「やる子」側について考えてみました。今回は、寄り道になるからと省いた、ケンカやトラブルについての体験談をご紹介したいと思います。
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (前編)
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (後編)
「やられたらやり返せ!」の裏にあるもの
恥ずかしながら筆者は、息子があまりにもやられる側だった幼児のときに、「やられたらやり返してもいいんだよ!」と言っていたことがありました。
大人がとめてくれるまでやられっぱなしで、ときには嫌なのに相手の前で笑ってしまうことさえある息子が痛々しかったのです。
息子は「それはダメだって、先生が言ってた」と応じなかったのですが、いつまでも先生が守ってくれるわけではない、小学校に入ったら先生の目はそこまで届かない、自分の身は自分で守らないといけない、と本気で思っていたのです。
保育園ではやり返すことのなかった息子ですが、小学校に入ってからは変わりました。
数か月に1回は同級生とのトラブルで先生から電話があったり、傷つけた相手の子の家に謝りに行ったりしました。
そう、息子は「やられたらやり返す」子になってしまったのです。
かつて自分がそうしていい、と言っていたものの、いざ本当にそうなると困りました。
「やられたらやり返す」を続けるかぎり、きりがありません。相手も自分も傷つきます。
息子と向き合い「ごめんなさい。ママが間違ってた」と話したのですが、当の息子は昔母にそんなことを言われたことは全く覚えていなかった様子。
ただ、気持ちが抑えられない状態になってしまうのだそうです。
そんな息子を見守りながら、先生と連携をとりながら、根気よく諭すしかなかったのですが、それでも2年生になる頃には落ち着きました。
息子だけでなく、周りでも似たようなケースを少なくとも5件は見聞きしています。時間が解決してくれることもあるのだと感じました。
しかし、「やられたらやり返す」を推奨した自分の無知に関しては、いまだに恥ずかしく感じ、反省の日々です。
大袈裟かもしれませんが、今日ある戦争やテロも、根底にはこの考えがあるような気がしてなりません。
「しっかりしている、いい子」を放置しない
もうひとつお伝えしたいエピソードは、保育園時代に出会った二人の「しっかりしている、いい子」のお話です。
一人は、息子と同じクラスでした。リーダー格のしっかりした子で、いつも忙しくお迎えの遅いママからも「しっかりしていて助かる」と言われていました。しかし、筆者が息子を迎えに行くと、毎日のようにその子が、「今日も○○は悪い子だった」と息子のことを報告にくるのです。
しっかりもののその子が言うことです、実際息子は空気が読めないタイプなので、一体どんなことをしちゃったんだろうと聞くのですが、具体的な行動を教えてくれたことは一度もありませんでした。
息子に聞いても「わからない」と答えるし、先生に聞いても「二人はいつも別々に遊んでいるのでよくわからない」と言われます。
腑に落ちないまま3か月ほどが過ぎたのですが、あるときからぴたりとそれがなくなりました。
それは、仕事の関係で、今まで早めにお迎えしていた筆者が通常のお迎え時間になったのと同時だったのです。
今では思うのです。彼女はきっと、淋しかったのではないかと。
二人目の「しっかりしている、いい子」は、ママと一緒に弟のお迎えにくる小学生の男の子です。
もともと本人も同じ保育園出身なので、彼がしっかりしていて、いいお兄ちゃんだという評判は知っていました。
しかしその子はなぜか、年が3つも違う息子に「相撲しよう」と誘ってくるのです。
それがエスカレートして「たたく・蹴る」のケンカになる、ということがよくありました。
毎回仲裁するのも疲れてきて、その子と会わないように、お迎えにきたらさっさと帰るようにしていた時期もありました。
ずっと後になって、その子が小学校でいじめられていたということを知ります。
クラスの先生も、お母さんも長い間知らなかったそうです。
ある日耐えきれず教室で泣き叫んで、初めてずっと我慢していたことがわかったといいます。
「しっかりしている、いい子」が違和感のある行動をしたとき、きっと裏で何か我慢していることがあるはずだと、今ではそう思うのです。
そして、自分の子どものことでせいいっぱいで、相手のSOSに気づけなかったことを、今になって悔やむのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「ずっと先の話だな」と感じた方、「うちの子はそういったトラブルはないな」と思った方、いろいろだと思います。
しかし、あえて小学生にまでわたる話をしたのは、大きくなってからトラブルを乗り越える力は、小さい頃身近な人と信頼感やきずなといった土台を築いてきたかどうかにかかっていると思うからです。
多かれ少なかれ、どんな子にも、トラブルはきっと起こります。
そのとき、我が子が自分で乗り越える力を蓄えるために、「大切にされている」「自分の気持ちを聞いてくれる」と感じられる今の毎日が大切なのではないでしょうか。
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (前編)
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (後編)