かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談(前編)
乳幼児期にはよく問題になる、かみつきやひっかき。やられる子、やる子、それぞれの悩みがあると思います。可愛いわが子を守りたい気持ちは、どのママも同じ。しかし、感情的になる前に、一歩ひいた視点で考えてみたいことがあります。
今回は、筆者の体験談に、子育てにまつわる取材をする中で出会った保育士さんたちの言葉を照らし合わせながら、まず「やられる子」側について考えていきたいと思います。
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (後編)
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (番外編)
保育園に通っていた息子は、1歳児クラスの終わりから2歳児クラスにかけて、かみつきやひっかきによる生傷が絶えませんでした。
保育園側は、「息子さんは悪くない、止められなかった自分たちの責任」の一点張りで、誰とのトラブルなのか、なぜ息子ばかりが標的にされるのか、明確な答えはくれませんでした。
とはいえ、徐々に本人の口から、周りの話から、どうやらいつも同じ子にやられているらしいとわかります。
男の子とはいえ、一点の曇りもない子どもの肌に、傷跡が残るくらい次々と生傷が増えていくのは、本人よりむしろ親が見ていてつらいものです。
転園しようかと真剣に悩んだこともありました。
相手の子の性格や親のしつけについて不信感を抱き、直談判しようかと考えたこともありました。
しかし通っていた保育園は幼児から縦割り保育(3〜5歳の混合クラスを複数つくる)だったため、幼児にあがるときに相手の子と別のクラスにしてもらうことで落ち着きました。
3つ年下の娘はそうした問題に巻き込まれることなく育ちました。とはいえ、周りでは息子のときよりむしろ激しいトラブルが起きていました。
やられる子、やる子双方の親がののしり合いに近い口論をする現場も見たことがありますし、やる子を親子ぐるみで仲間外れにしようとする動きもあったようです。
そうした様子を第3者として見ていて感じたことは、「やられる子」にも理由がある、ということです。
理由はさまざまです。意地悪な言い方をする、仲間に入れてくれない、おもちゃを貸してくれない。悪いことだけとは限りません。
体が小さい、マイペース、先生に気に入られているなどなど。単純にひとつではなく、いろいろな要素が複雑に混ざり合い、さらに日々のやりとりが重なっていると思われます。
そんないろいろな理由から生まれる相手の反応。しかし、それと付き合っていかなくてはならないのは、実は今だけではないと思うのです。
言い方ひとつで反感を買う、悪いことをしていなくても妬みや嫉妬を買う。大人になってもよく聞く話です。
結局、学校へ通うようになっても、社会人になっても、ずっとつきまとってくることではないでしょうか。
そう考えると、やる子を悪者にしてただ否定することは、長い目で見たとき、双方にとっていいことではないと感じたのです。
相手を悪者にして排除するのではなく、簡単に仲直りができる今のうちに、そうした気持ちのやりとりを練習させてあげるべきなのではと、強く思ったのです。
暴力はもちろんよくないことです。かみついたり、ひっかいたりではなく、言葉で気持ちを伝えることが大切です。子どもたちはそれを、集団生活の中で繰り返し教えられることで学んでいきます。
保育士さんたちが繰り返し言っていたことを思い出します。
「保育園の中で起きたことは、中で解決したい。保育園の外で親御さん同士が話し合わないでほしい」と。
たしかに、親が感情的に割り込んできてしまうと、子どもはケロッと忘れて仲直りできるところが、「あの子とはもう遊ばない」「あの子は悪い子だってママが言ってた」ということになってこじれてきてしまうのです。
「大人は子どものやりとりを見守ること。様子を見て、必要ならば間に入ること。そして双方の気持ちを聞き、ときには代弁し、子どもたちがお互いを理解し、受け入れることをサポートしていくこと」。
たくさんの保育士さんたちから聞いた保育の基本です。
今改めて、その大切さと難しさを痛感するのです。
わが子を守ることも大事ですが、わが子を含めた子どもたちみんなを信じてあげることも大事。今では筆者自身の過去の行動も反省し、強くそう感じています。
なぜなら、子どもたちはそのうち大人の手を離れて、自分たちだけで問題を解決していかなければいけないのです。そのとき力になる経験を、今は少しずつ積み上げていく時期なのではないでしょうか。
次回は、「やる子」側について考えてみたいと思います。
17/11/10
17/05/15
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乳幼児期にはよく問題になる、かみつきやひっかき。やられる子、やる子、それぞれの悩みがあると思います。可愛いわが子を守りたい気持ちは、どのママも同じ。しかし、感情的になる前に、一歩ひいた視点で考えてみたいことがあります。
今回は、筆者の体験談に、子育てにまつわる取材をする中で出会った保育士さんたちの言葉を照らし合わせながら、まず「やられる子」側について考えていきたいと思います。
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (後編)
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (番外編)
息子はやられてばかりでした
保育園に通っていた息子は、1歳児クラスの終わりから2歳児クラスにかけて、かみつきやひっかきによる生傷が絶えませんでした。
保育園側は、「息子さんは悪くない、止められなかった自分たちの責任」の一点張りで、誰とのトラブルなのか、なぜ息子ばかりが標的にされるのか、明確な答えはくれませんでした。
とはいえ、徐々に本人の口から、周りの話から、どうやらいつも同じ子にやられているらしいとわかります。
男の子とはいえ、一点の曇りもない子どもの肌に、傷跡が残るくらい次々と生傷が増えていくのは、本人よりむしろ親が見ていてつらいものです。
転園しようかと真剣に悩んだこともありました。
相手の子の性格や親のしつけについて不信感を抱き、直談判しようかと考えたこともありました。
しかし通っていた保育園は幼児から縦割り保育(3〜5歳の混合クラスを複数つくる)だったため、幼児にあがるときに相手の子と別のクラスにしてもらうことで落ち着きました。
第3者として見ていて感じたこと
3つ年下の娘はそうした問題に巻き込まれることなく育ちました。とはいえ、周りでは息子のときよりむしろ激しいトラブルが起きていました。
やられる子、やる子双方の親がののしり合いに近い口論をする現場も見たことがありますし、やる子を親子ぐるみで仲間外れにしようとする動きもあったようです。
そうした様子を第3者として見ていて感じたことは、「やられる子」にも理由がある、ということです。
理由はさまざまです。意地悪な言い方をする、仲間に入れてくれない、おもちゃを貸してくれない。悪いことだけとは限りません。
体が小さい、マイペース、先生に気に入られているなどなど。単純にひとつではなく、いろいろな要素が複雑に混ざり合い、さらに日々のやりとりが重なっていると思われます。
そんないろいろな理由から生まれる相手の反応。しかし、それと付き合っていかなくてはならないのは、実は今だけではないと思うのです。
言い方ひとつで反感を買う、悪いことをしていなくても妬みや嫉妬を買う。大人になってもよく聞く話です。
結局、学校へ通うようになっても、社会人になっても、ずっとつきまとってくることではないでしょうか。
そう考えると、やる子を悪者にしてただ否定することは、長い目で見たとき、双方にとっていいことではないと感じたのです。
相手を悪者にして排除するのではなく、簡単に仲直りができる今のうちに、そうした気持ちのやりとりを練習させてあげるべきなのではと、強く思ったのです。
感情的な大人が入るからこじれてしまう
暴力はもちろんよくないことです。かみついたり、ひっかいたりではなく、言葉で気持ちを伝えることが大切です。子どもたちはそれを、集団生活の中で繰り返し教えられることで学んでいきます。
保育士さんたちが繰り返し言っていたことを思い出します。
「保育園の中で起きたことは、中で解決したい。保育園の外で親御さん同士が話し合わないでほしい」と。
たしかに、親が感情的に割り込んできてしまうと、子どもはケロッと忘れて仲直りできるところが、「あの子とはもう遊ばない」「あの子は悪い子だってママが言ってた」ということになってこじれてきてしまうのです。
「大人は子どものやりとりを見守ること。様子を見て、必要ならば間に入ること。そして双方の気持ちを聞き、ときには代弁し、子どもたちがお互いを理解し、受け入れることをサポートしていくこと」。
たくさんの保育士さんたちから聞いた保育の基本です。
今改めて、その大切さと難しさを痛感するのです。
まとめ
わが子を守ることも大事ですが、わが子を含めた子どもたちみんなを信じてあげることも大事。今では筆者自身の過去の行動も反省し、強くそう感じています。
なぜなら、子どもたちはそのうち大人の手を離れて、自分たちだけで問題を解決していかなければいけないのです。そのとき力になる経験を、今は少しずつ積み上げていく時期なのではないでしょうか。
次回は、「やる子」側について考えてみたいと思います。
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (後編)
かみつき、ひっかき問題に悩むママへ伝えたい体験談 (番外編)