海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【オランダ編】
世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。
そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!
(C) Naoko Kurata
オランダ在住の倉田直子さん(42歳)。ご主人の鷹也さん(37歳・日本人)、長女の仁菜ちゃん(7歳・にな)の三人家族です。
「1年前にイギリスからオランダに移住しました。オランダを選んだ理由は、イギリスから近く、英語も通じやすかったからです。ユニセフの2007年と2013年の調査で “世界一子どもが幸せな国” に選ばれたという記事を読んだことも後押しになりました。」
※ 参照「世界一子供が幸せな国」
風車のあるオランダの風景 (C) Naoko Kurata
「仁菜は、オランダの公立校に通っています。ただ、移住当初はオランダ語が話せなかったので、半年間だけ “オランダ語が話せない子どもが通う小学校” に通いました。普通の小学校と同じように算数や体育というカリキュラムを行いつつ、オランダ語習得をサポートしてくれる学校です。この学校も公立なので、学費は月3ユーロとほぼ無料のようなものでした。また、この学校は長期間通うことは前提にしておらず、1年程度でオランダ語力をつけて普通の学校に転校することが条件です。子どもの習得は早いですから、移民の子どもたちも無理なく普通校に転入できているようです。」
オランダの街並み (C) Naoko Kurata
「仁菜との会話は、家では基本的に日本語です。ただ、イギリスで4年間暮らした彼女と海外生活が長い夫は気を抜くと英語で会話しているので、その都度私が注意して日本語に変えさせています(笑)。 今は娘には母国語である日本語と、小学校で必要なオランダ語に集中してもらいたいので、英語のインプットはお休み中。でもオランダ人の英語力は世界で二番目に高いというデータもあるので、この国で成長すれば英語はある程度まで話せるのではないかと楽観しています。言葉の習得は一生続くことなので、今は焦らずに、気長に考えています」
※参照「オランダ人の英語力は世界で二番目に高いというデータ」
オランダの学校行事はパパ参加が当たり前! (C) Naoko Kurata
「子どもが小学校に入学してからの移住だったので乳幼児期は知りませんが、学齢の子どもたちに “○歳はこうじゃなければいけない” というプレッシャーはありません。
オランダでは、その学年の学力に達していないと判断されれば小学生でも留年しますし、逆に理解の早い子は飛び級もします。実際に、娘のクラスメイトには一学年下から飛び級してきた女の子がいます。年齢ではなく、子どもの成長に合わせて勉強をさせてくれるのです。留年も決して恥ずかしいことではなく、“じっくり学べるチャンス”と捉えられるそう(ただし学力ギャップは低学年の段階で発見されることが多いので、留年は高学年ではあまり起きないという意見もあります)」
「私は、オランダ人の親が子どもに大声で怒っているところは見たことないですね。むしろ、もっと叱ったら? と思った場面ならあります(笑)。オランダのママたちは、子どもに対して“こうであれ”というプレッシャーを与えていない印象があります。日本人から見ると非常にリラックスして子育てされていますね」
「日本のお弁当は海外でも話題になるくらい手がこんでいたり、たくさんの品数を見栄え良く盛りつけていたりしますよね。娘の学校も給食がないので毎日お弁当を持参していますが、日本の方々にお見せするのも恥ずかしいくらいシンプルな内容です。サンドイッチに野菜を添えるくらいですね。クラスメイトも似たようなものなので、娘もそれで何の不満もない様子。日本なら『あそこのお母さんは手抜きだ』と言われそうなお弁当でも、オランダの場合栄養さえ考えられていたらOKなのがありがたいです」
「日本では、保育園や幼稚園のお迎えはママの担当という家庭が大半ですよね。オランダでは、小学生になっても学校の送り迎えが必要ですが、パパが送迎をすることもごく当たり前の光景です。お迎えは午後2時~3時頃の小学校が多いのですが、娘の小学校では1/3くらいパパがお迎えに来ています(1/3くらいがママ、他はおじいちゃん、おばあちゃんなど)。保護者参加のイベントでも、父親も当然のようにやってきます」
オランダの病院待合室 (C) Naoko Kurata
「オランダは家庭医制度を採用しているので、歯科以外の不調はすべてホームドクター(Huisarts=かかりつけ医)の病院に行かなくてはいけません。以前、娘の目に異変を感じた時も、最初にホームドクターに診察してもらい、そこから眼科専門医への紹介状を書いてもらいました。それがないと、眼科に行っても診察してもらえないのです。ホームドクターも専門医も予約が取りづらいので、数週間待つこともあります。
また、薬の処方もあまりされません。娘が水ぼうそうにかかったときは『他の人に感染させないため、家で安静にしていてください』と電話の段階で診察拒否されました。水ぼうそうは確かに時間が一番の薬のようですが、親は不安なので何となく病院に行きたくなりますよね(笑)。そんなとき、日本の病院は行きやすかったなと懐かしく思います」
「オランダでは、小学8年生(日本の小学6年生、11歳程度)までは親が小学校へ送り迎えするのが暗黙のルール。義務ではないようですが、子ども一人での登下校は通常ありません。娘の小学校は毎日午後2時15分が下校時間なのですが、それに合わせて2時過ぎに家を出る必要があります。2時って、昼食を済ませたらすぐですよね。その時間は必ずそのために空けておかなくてはいけないので、時間のやりくりを難しく感じることも・・・」
「オランダにも運動会はありますが、日本人が考える運動会と全く概念が違って、“みんなで運動する日”という感じでした。そして肝心の競技は、クラスごとに分かれて行い、順に回っていくという一体感や統一感とは無縁の内容。しかも平日開催ということもあり、進行補助のボランティアの親はいましたが、観客は全くいません。ドライですよね〜(笑)。私も、最初の準備体操だけ見守ったらそそくさと退散しました。運動会は午前中の2時間だけで、午後には普通に授業だったそうです」
「オランダでは、小学校の音楽の時間は義務ではないので、設けられていない小学校がほとんど。学校や担任の教師が個別でカリキュラムに取り入れていることもあるようですが、娘の小学校には音楽の時間がありません。
音楽的な要素を学ばせたい場合は、家庭で個別にそういったお稽古に通わせる必要があります。日本の小学校の音楽の時間は、貴重だったのだなと思い返しています」
「オランダの子育ては『子どもに選ばせる』『子どもに決めさせる』ことが多いように感じます。
子どもたち自身が、自分にとっての幸せな人生を選び取っていくための手助けになるような子育てをしていけるといいですね」
日本と海外の子育ての違い【オランダ編】、いかがでしたでしょうか。
“世界一子どもが幸せな国” と言われるオランダ。年齢に関係なくその子の成長に合わせて学んでいく、そして留年も恥ずかしいことじゃない、そんな土壌がある国はやはり、子どもにとって幸せな環境だと思わずにはいられません。
それぞれのペースがあり、それぞれの幸せがある。そんな価値観が自然と育っていくのかもしれませんね。
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世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。
そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!
今回取材に協力してくれたのは?
(C) Naoko Kurata
オランダ在住の倉田直子さん(42歳)。ご主人の鷹也さん(37歳・日本人)、長女の仁菜ちゃん(7歳・にな)の三人家族です。
「1年前にイギリスからオランダに移住しました。オランダを選んだ理由は、イギリスから近く、英語も通じやすかったからです。ユニセフの2007年と2013年の調査で “世界一子どもが幸せな国” に選ばれたという記事を読んだことも後押しになりました。」
※ 参照「世界一子供が幸せな国」
風車のあるオランダの風景 (C) Naoko Kurata
「仁菜は、オランダの公立校に通っています。ただ、移住当初はオランダ語が話せなかったので、半年間だけ “オランダ語が話せない子どもが通う小学校” に通いました。普通の小学校と同じように算数や体育というカリキュラムを行いつつ、オランダ語習得をサポートしてくれる学校です。この学校も公立なので、学費は月3ユーロとほぼ無料のようなものでした。また、この学校は長期間通うことは前提にしておらず、1年程度でオランダ語力をつけて普通の学校に転校することが条件です。子どもの習得は早いですから、移民の子どもたちも無理なく普通校に転入できているようです。」
オランダの街並み (C) Naoko Kurata
「仁菜との会話は、家では基本的に日本語です。ただ、イギリスで4年間暮らした彼女と海外生活が長い夫は気を抜くと英語で会話しているので、その都度私が注意して日本語に変えさせています(笑)。 今は娘には母国語である日本語と、小学校で必要なオランダ語に集中してもらいたいので、英語のインプットはお休み中。でもオランダ人の英語力は世界で二番目に高いというデータもあるので、この国で成長すれば英語はある程度まで話せるのではないかと楽観しています。言葉の習得は一生続くことなので、今は焦らずに、気長に考えています」
※参照「オランダ人の英語力は世界で二番目に高いというデータ」
海外から見た日本の子育て「ここが不思議!」
オランダの学校行事はパパ参加が当たり前! (C) Naoko Kurata
みんなと同じじゃないと不安
「子どもが小学校に入学してからの移住だったので乳幼児期は知りませんが、学齢の子どもたちに “○歳はこうじゃなければいけない” というプレッシャーはありません。
オランダでは、その学年の学力に達していないと判断されれば小学生でも留年しますし、逆に理解の早い子は飛び級もします。実際に、娘のクラスメイトには一学年下から飛び級してきた女の子がいます。年齢ではなく、子どもの成長に合わせて勉強をさせてくれるのです。留年も決して恥ずかしいことではなく、“じっくり学べるチャンス”と捉えられるそう(ただし学力ギャップは低学年の段階で発見されることが多いので、留年は高学年ではあまり起きないという意見もあります)」
公共の場で子どもを叱っている親を見かける
「私は、オランダ人の親が子どもに大声で怒っているところは見たことないですね。むしろ、もっと叱ったら? と思った場面ならあります(笑)。オランダのママたちは、子どもに対して“こうであれ”というプレッシャーを与えていない印象があります。日本人から見ると非常にリラックスして子育てされていますね」
手間をかけることが愛情ととらえられる
「日本のお弁当は海外でも話題になるくらい手がこんでいたり、たくさんの品数を見栄え良く盛りつけていたりしますよね。娘の学校も給食がないので毎日お弁当を持参していますが、日本の方々にお見せするのも恥ずかしいくらいシンプルな内容です。サンドイッチに野菜を添えるくらいですね。クラスメイトも似たようなものなので、娘もそれで何の不満もない様子。日本なら『あそこのお母さんは手抜きだ』と言われそうなお弁当でも、オランダの場合栄養さえ考えられていたらOKなのがありがたいです」
お迎えはママが担当
「日本では、保育園や幼稚園のお迎えはママの担当という家庭が大半ですよね。オランダでは、小学生になっても学校の送り迎えが必要ですが、パパが送迎をすることもごく当たり前の光景です。お迎えは午後2時~3時頃の小学校が多いのですが、娘の小学校では1/3くらいパパがお迎えに来ています(1/3くらいがママ、他はおじいちゃん、おばあちゃんなど)。保護者参加のイベントでも、父親も当然のようにやってきます」
海外から見た日本の子育て「ここがうらやましい!」
オランダの病院待合室 (C) Naoko Kurata
病院に行きやすい
「オランダは家庭医制度を採用しているので、歯科以外の不調はすべてホームドクター(Huisarts=かかりつけ医)の病院に行かなくてはいけません。以前、娘の目に異変を感じた時も、最初にホームドクターに診察してもらい、そこから眼科専門医への紹介状を書いてもらいました。それがないと、眼科に行っても診察してもらえないのです。ホームドクターも専門医も予約が取りづらいので、数週間待つこともあります。
また、薬の処方もあまりされません。娘が水ぼうそうにかかったときは『他の人に感染させないため、家で安静にしていてください』と電話の段階で診察拒否されました。水ぼうそうは確かに時間が一番の薬のようですが、親は不安なので何となく病院に行きたくなりますよね(笑)。そんなとき、日本の病院は行きやすかったなと懐かしく思います」
小学校の送り迎えをしなくていい
「オランダでは、小学8年生(日本の小学6年生、11歳程度)までは親が小学校へ送り迎えするのが暗黙のルール。義務ではないようですが、子ども一人での登下校は通常ありません。娘の小学校は毎日午後2時15分が下校時間なのですが、それに合わせて2時過ぎに家を出る必要があります。2時って、昼食を済ませたらすぐですよね。その時間は必ずそのために空けておかなくてはいけないので、時間のやりくりを難しく感じることも・・・」
一体感を感じる運動会がある!
「オランダにも運動会はありますが、日本人が考える運動会と全く概念が違って、“みんなで運動する日”という感じでした。そして肝心の競技は、クラスごとに分かれて行い、順に回っていくという一体感や統一感とは無縁の内容。しかも平日開催ということもあり、進行補助のボランティアの親はいましたが、観客は全くいません。ドライですよね〜(笑)。私も、最初の準備体操だけ見守ったらそそくさと退散しました。運動会は午前中の2時間だけで、午後には普通に授業だったそうです」
音楽の課業や授業がある!
「オランダでは、小学校の音楽の時間は義務ではないので、設けられていない小学校がほとんど。学校や担任の教師が個別でカリキュラムに取り入れていることもあるようですが、娘の小学校には音楽の時間がありません。
音楽的な要素を学ばせたい場合は、家庭で個別にそういったお稽古に通わせる必要があります。日本の小学校の音楽の時間は、貴重だったのだなと思い返しています」
日本の子育てママさんたちに伝えたいことは?
「オランダの子育ては『子どもに選ばせる』『子どもに決めさせる』ことが多いように感じます。
子どもたち自身が、自分にとっての幸せな人生を選び取っていくための手助けになるような子育てをしていけるといいですね」
まとめ
日本と海外の子育ての違い【オランダ編】、いかがでしたでしょうか。
“世界一子どもが幸せな国” と言われるオランダ。年齢に関係なくその子の成長に合わせて学んでいく、そして留年も恥ずかしいことじゃない、そんな土壌がある国はやはり、子どもにとって幸せな環境だと思わずにはいられません。
それぞれのペースがあり、それぞれの幸せがある。そんな価値観が自然と育っていくのかもしれませんね。
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