海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【フィンランド編】

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海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【フィンランド編】

2016/12/21 海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【フィンランド編】

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世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。

「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。

そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!

 

 

 今回取材に協力してくれたのは?

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(C)Naoko Hara

フィンランド在住の原 尚子さん(43歳)。娘のカラコスキ・サリナちゃん(15歳)、息子のカラコスキ・トンミくん(9歳)の三人家族です。

「フィンランドには17年在住しています。フィンランドの映画監督アキ・カウリスマキの作品に感銘を受けたのが、フィンランドという国への興味に変わり、ご縁となりました。

父親(フィンランド人)とは7年前に離婚していますが、今はよい友達となり、子どもの世話もよく手伝ってもらっています。

子どもたちはトゥルク大学付属の学校に通っていて、サリナは9年生(日本の中学3年生)、トンミは小学3年生です。

家庭ではみんな日本語とフィンランド語両方を使います。

会話の途中で言語が切り替わることもしょっちゅうです。コミュニケーション重視でどちらの言葉を話すかという点には頓着していません。

 

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クリスマスマーケットにて (C)Naoko Hara

うちの子が通っている学校は外国から移住した家庭のご子息が多く、生徒さんの母国語を数えると50語以上あるそうです。

いろんな文化、境遇から来たお友達とのふれあいを通して、偏見のない、視野の広い人間に育ってほしいと思います

 

 

海外から見た日本の子育て「ここが不思議!」

 

子ども向けのテレビ番組にケンカのシーンやシニカルなユーモアがある

「日本では、小さなお子さん向けのテレビ番組でもけんかのシーンやシニカルなユーモアが含まれたものもありますが、フィンランドでは、子どもが肉体的、精神的な暴力に(間接的にすら)曝されないよう徹底して護っています。

日本でロングセラーのドラえもんも、ジャイアンがのび太をいじめたり、ジャイアンのお母さんが息子を折檻するのでフィンランドではきっと放映できないと思います」

 

 

都市化により森や里山が減少している

「森と湖の国といわれるだけあり、フィンランドには自然がふんだんにあります。

私たちの住まいは団地ですが、それでも100mほど歩くと深い森の中に入れます。

子どもが小さい頃から一緒に森の散歩をしてきました。

変化に富んだ地形を歩くのはバランス感覚を発達させますし、日常生活の中で、樹木の香りと枝葉のざわめきの中に簡単に入れるのはとても恵まれたことだと思います。

 

散歩といえば、最近は週末、息子とポケモン散歩をすることも。息子の『ポケモンGO』熱はまだカッカと熱く、雪が降って本格的な冬に入っても、指とほっぺを悴ませながらしぶとくやっています。すごいですね、ゲームの力!」

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家の裏の森 (C)Naoko Hara

 

 

学校の授業時間数が多い

「こちらの小学校は特に低学年の間は時間割が短く、一日2~3時限勉強して給食を食べたら下校、という日が多くあります。

夏休みは2か月半と長く、加えて秋休み、冬休み、スキー休みがあり、放課後に通う塾というものは存在しません。

 

これでも世界でトップレベルの学力が養成できるのは、競争によるストレスがないこと、クラスが少人数(20人ほど)なこと、教師が修士の学位を持っていて優秀ためといわれているそうです。

でも、日本の子どもたちは、2000を超える常用漢字や、長く複雑な日本の歴史など基礎教養として学習しないといけませんから、ここまでのゆとりは持てないのかもしれませんね。

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フィンランド南西部の風景 (C)Naoko Hara

フィンランドが国家として誕生したのは、1917年、つまり来年でやっと100歳になる国なんです。

その前はロシアの、さらにその前はスウェーデンの支配下にありました。フィンランド人はもともと素朴な農耕民族で、文字をもたず、知識は口承により伝えられていたため、歴史的文献も少なく、覚えるべき歴史のボリュームが日本のそれとは比べものになりません。

自分の学生時代を振り返ってみて、『泣くよ(794)ウグイス平安京』とか、『いい国(1192)作ろう鎌倉幕府』とか沢山の年号を暗記しましたが、こちらではそんな苦心がないのです」

 

 

働くママが大変そう

「日本だと有給休暇を取れる権利はあっても、実際には取りづらい雰囲気がある職場も多いですよね。

フィンランドでは労働組合が活発で、夏休み4週間、冬休み1週間のお休みも当然の権利として取ることができます。

仕事のことを一切忘れ、子どもたちと余暇を楽しめるのでうれしいです。

 

また、出産、子育て後も前の職場、役職に戻れる保証があるので、安心して子育てに没頭できるのが非常にありがたかったです。

 

そしてフィンランドはなんといっても、福祉が充実しています。まず、子どもを産むと国からのプレゼントがもらえるのですが、これは140ユーロの現金で受けるか、赤ちゃんの世話を始める上の必需品パッケージでもらうか選択ができます。2016年のパッケージはこちら

 

 

体罰禁止が守られていない現実がある

「私が育った日本の時代、地域では家庭でも学校でも体罰がありました。

今は日本でも少なくなっていると思いますが、フィンランドでは子どもに手をあげることは1984年より法で禁じられていますし、親が子どもをきつく叱っている場面もあまり見ません。

 

ただ、感情をぶつけるようなしかり方をしないというだけで、しつけをしないということではありません。

フィンランドの親御さんも、お子さんが公共の場で周囲の迷惑になることや、危ないことをしたらこんこんと諭しています」

 

 

バリアフリーが進んでいない

「フィンランドはバリアフリーの街づくりが進んでいます。子どもが小さいときも、ベビーカーで外出したとき、不便と感じることがありませんでした。

 

公共バスの中央には座席を取り払った車いす、ベビーカー用のスペースがあり、これらを固定できるようにベルトやフックもついています。

また、バスが発進したあと、運賃を払うため親がベビーカーを離れて運転手のところまでくるのは危ないという理由で、ベビーカーを押して乗る乗客は運賃無料です。

これは子育てをするママ、パパにはうれしい計らい。

育児休暇の間、仕事をしているときより収入が減り、経済的プレッシャーがかかりますが、バス代がかからないということで気軽に外出でき、気分転換ができるので、育児ノイローゼの予防にも貢献していると思います」

 

 

海外から見た日本の子育て「ここがうらやましい!」

 

学校で掃除当番がある

フィンランドの学校では清掃は業者が行います。

日本のように生徒に掃除をさせません。日本のお掃除当番の利点は、公共の場を清潔に保つということを子どもに教えていると思います。

時々こちらでお菓子の包み紙などをポイ捨てする子供たちを見ると、学校でお掃除させるようになったら随分変わるんじゃないかなと思うんです。

 

掃除当番がないことが、家での片付けに影響しているかどうかは、ちょっとわかりません。

娘の方は自分の部屋をきれいに保っているんですが、息子の方は脱いだ服はいつも床に放りっぱなしで、それを私が『これ誰の抜け殻!?』『空間芸術か!?』などと叫びながら拾ってるんです。

全く嘆かわしい・・・。週末に、『気持ちよく新しい週を始められるように、みんなで30分掃除しよう』とか『それぞれ10個、家のお仕事しよう』などと誘って掃除させてはいますが・・・」

 

 

食材の豊かさ

日本の食材の多さがうらやましいです。

献立は子どもの体づくりの上で重要なことですが、フィンランドでは冬になると入手できる野菜の種類が少なくなり、値段も高くなるので、献立に変化をつけ栄養のバランスをとるのに苦心しています」

 

 

制服がある!

娘が10代になって、朝のおしゃれに随分時間がかかるようになりました。日本のように制服があれば、時間もお金も節約できるのに・・・」

 

 

疲れがとれる日本のお風呂が恋しい!

「日本のお風呂が恋しいです。お風呂は疲れがよく取れ、そのあとぐっすり眠れますよね。

こちらでは浴槽のある家庭は少なく、普段はシャワーを浴び、週に1~2回サウナに入るのが一般的です。

 

子どもたちが小さいときは、毎週土曜に一緒にサウナに入ってしりとりゲームをしていました。

娘は熱いのが苦手で、すぐに『アンパン、あ、負けたー!』などとわざと負けて飛び出していったものですが、息子は勝負となると真剣になるので、粘って座っているうちに随分サウナに強くなったようです。

しばらく前のことですが、息子がプールの男性更衣室側にあるサウナに入り、サウナの焼石にどんどん柄杓でお湯をかけて熱い蒸気を出しているうちに、大人の男たちが音を上げて次々に逃げ出して行き、子どもの僕が一人残ったのだと得意そうに話していましたっけ」

 

 

日本の子育てママさんたちに伝えたいことは?

「しつけについてですが、こちらでよく言われていることは、情緒の安定した子どもを育てるには、まず第一に日々の生活で反復されるパターンをつくるということです。

毎日、何が起こるかわからない生活では、たとえそれが楽しいことの連続でも小さな子どもにはストレスとなるのだそうです。

 

そして第二に子どもに許されていることと、禁じられていることの境界線を明示して、譲らないということ。

例えば、こちらの家庭では、一般的に、Karkkippäivä(カルッキパイバ = キャンデーの日)と言い、週に1日くらいの頻度でお菓子を食べていい日を決めていますが(これは、始終甘いものを口に入れるのは歯の健康に良くないため、食べるならば短い時間で集中して食べさせなさい、というこちらの歯医者さんの推奨です)、それ以外の日に子どもがお店で、『お菓子を買って』とねだったとしたら、カルッキパイバまで我慢しようね、ルールだからと納得させます。

しかし、子どものねだりに負けてそこでお菓子を買ってしまったりすると、子どもは泣いたりすねたりすることで自分の望みをかなえられるのだと学習してしまいます。

子どもが駄々をこねた時は、意のままにならないことも我慢し受け入れる、ということを教える絶好のチャンスと考え、決して迎合しないことです。

 

そして、親が子どもを愛するのは当然のことですが、子どもたちも無条件に親を愛し、信頼しています。

その信頼に見合うママになりたい、とひたすら思います」

 

 

日本と海外の子育ての違い【フィンランド編】、いかがでしたでしょうか。「お母さんにやさしい国ランキング2014」では1位を獲得しているフィンランド。福祉の充実もさることながら、たっぷりの自然と、ゆったりとした時間の流れが、豊かな子育てにつながっているように感じました。

 

ちなみに日本は32位。7つの先進国の中で最下位です。日本のお母さんたちがゆったりと安心して子育てできるようになるヒントが、今回のレポートにあるように思えます。

 

参考サイト

「お母さんにやさしい国ランキング2014」発表、1位はフィンランド、最下位はソマリア~日本のお母さんは32位~(2014.05.06)|Save the Children

 


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