海外から見た日本の子育て、ここが不思議!ここがうらやましい!【イギリス編】
世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。
「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。
そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!
01 お友達の娘さんと(C) Kana Ino
イギリス在住の伊能佳奈さん(40歳)。夫のマシューさん(34歳・フランス人)、長女のハナちゃん(2歳)の3人家族です。
「イギリスに移り住んでちょうど1年8か月が過ぎました。
夫とは11年前に中国で知り合って、その後お互いの仕事や勉強でフランス→フィンランド→中国→フィンランドと転々とし、計4年間住んだフィンランドで出産しました。
出産してから一か月後に今の仕事の面接があり、娘が6か月の時にイギリスに移り住むことに。
こちらに来てからは新しい仕事、夫の仕事探し、娘の保育園探し、と、夫婦ともどもとにかく必死でした。
一時は移住したことを後悔したことさえありましたが、ひとつひとつなんとか解決していくことができ、1年半以上経って、やっと、イギリスの色々なところを旅行したりして、ここでの生活をもっと楽しんでいこう、という心境になってきました。
娘は保育園に9か月になった頃から通っています。
最初の2~3週間は、毎日1時間だけ保育園に連れていって、環境に慣れさせる期間がありました。
今は週3日一日保育(午前8時~午後6時)で、残りの2日は半日保育(午後1時~6時)です。
私は日本語、夫はフランス語で話しかけていますが、保育園では英語に接しています。
最初の頃は、娘の口にする言葉も日本語の割合が高かったのですが、フランス語も徐々に増えはじめ、2歳を過ぎてからは英語の割合が一番高くなりました。
家では全く英語を教えていないので、英語で「きらきらぼし」が歌えるようになったり、ある日突然「Sit down, mama!」と言われたりすると、保育園では今こういうことを教わってるんだな、とか、こういうことを先生に言われてるんだな、ということがよくわかってとても面白いです。
体のパーツを言うとき、『耳』と『目』は日本語、『足』はフランス語、その他のパーツは英語、と、三か国語からピックアップしていますが、これからどのように変化していくのか楽しみです」
「たとえばこちらの公園に行くと、ブランコに乗ってご機嫌なわが子に向かって『なんてかわいい子なの!』的な愛情表現をしている親を見かけることがあります。
日本には、身内を褒めることはなるべく控える文化があると思うので、公共の場で大きな声でわが子を褒めちぎるのはちょっと勇気がいりますよね。
せっかくイギリスに住んでいるので、私も人目をはばかることなく思いっきり娘に愛情表現を投げかけています」
「娘が生まれたフィンランドでも、今住んでいるイギリスでも、オーガニックの乳児用液体ミルクを購入することができました。
災害時はもちろん、外出時や早朝深夜、親がへとへとなときにミルクをあげる際にも非常に便利なので、日本でも販売されるようになるといいな、と思っています。
今、日本でも導入する動きが勢いづいているようですが、早く販売が開始されるといいな、と願っています」
「イギリスに移り住んですぐに働き始めたこともあり、できあいの離乳食にはときどきお世話になりました。
『作ってあげても食べてくれない・・・ 』『できれば毎食手作りしたいけど、時間も体力も限られているし・・・ 』という葛藤や罪悪感を和らげてくれたのは、オーガニックの離乳食。
こちらでは、スーパーやドラッグストアでも必ずオーガニックの離乳食が手に入ります。
Ella’s Kitchen、HiPPなどのオーガニックのベビーフードのブランドにはとてもお世話になりました。
日本に一時帰国した際、オーガニック表示があるベビーフードが実家近くの大手スーパーにはなかったので、子ども用の有機食品の取り扱いを増やしていってほしいな、と思いました」
「娘の保育園には、いろいろなバックグラウンドの子どもと先生がいます。
イギリス伝統の行事だけでなく、いろいろな国・文化の行事を大切にしてくれています。
たとえば、ヒンズー教の新年のお祝いの言葉(「Happy Diwali」)やラマダン明けにイスラム教徒が交わす挨拶(「Eid Mubarak!」)が書かれたカードに飾り付けをして持って帰ってくることなどがあります。
02 (C) Kana Ino
私自身『今日は〇〇教徒の人にとってはこんな日だったんだ』とか、『こういった行事があるんだ』ということを学べて、普段仕事や家のことでいっぱいいっぱいの親に多様な文化を学ばせる、という効果もあって、とってもいいことだなと思っています」
「こちらでは店員さんが娘にクッキーやパンなどをサービスでくれることが多く、マニュアルにはない、優しい対応をしてくれると、外出中とても心が温まります。
また、ベビーチーノといってほどよく温まったフォームミルクにチョコレートパウダーなどをかけた子ども用の飲み物があります。
このドリンクを、無料か、リーズナブルな値段で提供してくれているカフェやレストランが多いのはとてもありがたいです」
「日本では、あらゆるサービスの質が高く、そして、安定しています。たとえば、バスのサービス。
ベビーカーを押してバスに乗ったとき、すぐ運転手さんが発車してしまうと危ないですよね。
日本に一時帰国したときは、乗客が席に着くまで運転手さんが発車しないで待っていてくれました。
日本では当然のこととはいえ、思わず心の中で激しく拍手していました。
イギリスはよく知られている通り、雨が頻繁に降るのですが、雨が降ると特にべビーカーのスペースがいっぱいでバスに乗れないことがあります。
突然の雨でびしょびしょになりなって待っているときに、『ノースペース!』とバスの運転手さんに冷たく言われ、いくつかバスをやり過ごすときなど、本当にどーんと悲しくなります。
因みに娘はベビーカー用のレインカバーが嫌いで、取り払ってびしょびしょになってしまうことがあるので、そんなときはさらに悲しくなります・・・」
「娘はときどき保育園でクッキーにアイシングをして、家に持って帰ってくるのですが、クッキーそのものがかなり甘くて、できればこういう味に慣れさせたくないなあと思ってしまいます。
それから、保育園での食事のメニューに、『スパゲッティ・オン・トースト』という聞きなれない料理名が書いてあったのでインターネットで検索してみたら、文字通りトマトソースのスパゲッティをトーストに乗せただけの食べ物で、ちょっとした衝撃でした。
また、ハロウィンのときに、娘が飾り付けをして持って帰ってきたクッキーもかなり衝撃的で、包みを開けた瞬間『ぎゃっ!』と思わず叫んでしまいました(笑)。よかったらご笑覧ください。
03 (C) Kana Ino
日本の保育園では栄養バランスや彩りに配慮した食事を出してくれると思うので、うらやましいなあと思います」
「イギリスに来てできた私たちのママ友、パパ友の出身国はイギリスだけでなくチュニジア、クロアチア、インド、ヨルダン、ナイジェリアなどなど多様なのですが、みんなと話をしてみると、子どもの食べ物の好き嫌いのこと、夜子どもがなかなか寝てくれないこと、自分の時間がなかなか持てないことなど、私たちと同様の悩みを抱えながら、試行錯誤しながら子育てをしてるんだなあ、正解はないんだなあ、といつも思います。
イギリスは学校のレベルの差が大きく、希望の学校の学区内に住むために引っ越しをするのはよくあることなんだそうです。
また、家で学習する、ホームスクーリングをしている子の数も年々増えているそうです。
いろいろな選択肢がある上、うちではこれからも親の母国語であるフランス語と日本語を使っていく予定なので、子どもの反応を見つつ、もっと大きくなったら子どもと話し合いながら、試行錯誤でやっていく以外ないのだろうな、と思います。
でも、とにかく子どもがいつも笑顔でいられるよう、子どもが『楽しい!』『好き!』と思えることをずっと応援していってあげたいな、と思います」
私たち日本人にとって、長く人気の高い旅先でもあるイギリス。
伝統と最先端、両方の文化に恵まれたおしゃれな国というイメージがありますが、実際にその地で子育てをしてみるとさまざまなことを感じるものなのだとわかります。
そして世界のどんな場所であっても、パパママたちが試行錯誤しながら子育てをがんばっているのだと知ると、何だか勇気づけられますよね。
参考サイト
[液体ミルクの解禁いつ? 安全データ検討 省令改正に時間|東京新聞]
[乳児用液体ミルクの国内販売、2020年解禁…五輪海外客に対応|YOMIURI ONLINE]
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世界の子育てをのぞいてみれば、日々の子育てに思わぬヒントをもらえるかもしれません。
「所変われば品変わる」というように、日本では当たり前だと思っていたことが、海外から見ると驚かれたり、うらやましがられたり。
そんな日本と海外の子育ての違いについて、海外在住のママに取材しました!
今回取材に協力してくれたのは?
01 お友達の娘さんと(C) Kana Ino
イギリス在住の伊能佳奈さん(40歳)。夫のマシューさん(34歳・フランス人)、長女のハナちゃん(2歳)の3人家族です。
「イギリスに移り住んでちょうど1年8か月が過ぎました。
夫とは11年前に中国で知り合って、その後お互いの仕事や勉強でフランス→フィンランド→中国→フィンランドと転々とし、計4年間住んだフィンランドで出産しました。
出産してから一か月後に今の仕事の面接があり、娘が6か月の時にイギリスに移り住むことに。
こちらに来てからは新しい仕事、夫の仕事探し、娘の保育園探し、と、夫婦ともどもとにかく必死でした。
一時は移住したことを後悔したことさえありましたが、ひとつひとつなんとか解決していくことができ、1年半以上経って、やっと、イギリスの色々なところを旅行したりして、ここでの生活をもっと楽しんでいこう、という心境になってきました。
娘は保育園に9か月になった頃から通っています。
最初の2~3週間は、毎日1時間だけ保育園に連れていって、環境に慣れさせる期間がありました。
今は週3日一日保育(午前8時~午後6時)で、残りの2日は半日保育(午後1時~6時)です。
私は日本語、夫はフランス語で話しかけていますが、保育園では英語に接しています。
最初の頃は、娘の口にする言葉も日本語の割合が高かったのですが、フランス語も徐々に増えはじめ、2歳を過ぎてからは英語の割合が一番高くなりました。
家では全く英語を教えていないので、英語で「きらきらぼし」が歌えるようになったり、ある日突然「Sit down, mama!」と言われたりすると、保育園では今こういうことを教わってるんだな、とか、こういうことを先生に言われてるんだな、ということがよくわかってとても面白いです。
体のパーツを言うとき、『耳』と『目』は日本語、『足』はフランス語、その他のパーツは英語、と、三か国語からピックアップしていますが、これからどのように変化していくのか楽しみです」
海外から見た日本の子育て「ここが不思議!」
公共の場であまりわが子を褒めない
「たとえばこちらの公園に行くと、ブランコに乗ってご機嫌なわが子に向かって『なんてかわいい子なの!』的な愛情表現をしている親を見かけることがあります。
日本には、身内を褒めることはなるべく控える文化があると思うので、公共の場で大きな声でわが子を褒めちぎるのはちょっと勇気がいりますよね。
せっかくイギリスに住んでいるので、私も人目をはばかることなく思いっきり娘に愛情表現を投げかけています」
液体ミルクがない
「娘が生まれたフィンランドでも、今住んでいるイギリスでも、オーガニックの乳児用液体ミルクを購入することができました。
災害時はもちろん、外出時や早朝深夜、親がへとへとなときにミルクをあげる際にも非常に便利なので、日本でも販売されるようになるといいな、と思っています。
今、日本でも導入する動きが勢いづいているようですが、早く販売が開始されるといいな、と願っています」
オーガニックのベビーフードが少ない
「イギリスに移り住んですぐに働き始めたこともあり、できあいの離乳食にはときどきお世話になりました。
『作ってあげても食べてくれない・・・ 』『できれば毎食手作りしたいけど、時間も体力も限られているし・・・ 』という葛藤や罪悪感を和らげてくれたのは、オーガニックの離乳食。
こちらでは、スーパーやドラッグストアでも必ずオーガニックの離乳食が手に入ります。
Ella’s Kitchen、HiPPなどのオーガニックのベビーフードのブランドにはとてもお世話になりました。
日本に一時帰国した際、オーガニック表示があるベビーフードが実家近くの大手スーパーにはなかったので、子ども用の有機食品の取り扱いを増やしていってほしいな、と思いました」
宗教や民族の多様性を感じることが少ない
「娘の保育園には、いろいろなバックグラウンドの子どもと先生がいます。
イギリス伝統の行事だけでなく、いろいろな国・文化の行事を大切にしてくれています。
たとえば、ヒンズー教の新年のお祝いの言葉(「Happy Diwali」)やラマダン明けにイスラム教徒が交わす挨拶(「Eid Mubarak!」)が書かれたカードに飾り付けをして持って帰ってくることなどがあります。
02 (C) Kana Ino
私自身『今日は〇〇教徒の人にとってはこんな日だったんだ』とか、『こういった行事があるんだ』ということを学べて、普段仕事や家のことでいっぱいいっぱいの親に多様な文化を学ばせる、という効果もあって、とってもいいことだなと思っています」
サービスレベルは高いがマニュアル化されている
「こちらでは店員さんが娘にクッキーやパンなどをサービスでくれることが多く、マニュアルにはない、優しい対応をしてくれると、外出中とても心が温まります。
また、ベビーチーノといってほどよく温まったフォームミルクにチョコレートパウダーなどをかけた子ども用の飲み物があります。
このドリンクを、無料か、リーズナブルな値段で提供してくれているカフェやレストランが多いのはとてもありがたいです」
海外から見た日本の子育て「ここがうらやましい!」
サービスのレベルが高くて安定している
「日本では、あらゆるサービスの質が高く、そして、安定しています。たとえば、バスのサービス。
ベビーカーを押してバスに乗ったとき、すぐ運転手さんが発車してしまうと危ないですよね。
日本に一時帰国したときは、乗客が席に着くまで運転手さんが発車しないで待っていてくれました。
日本では当然のこととはいえ、思わず心の中で激しく拍手していました。
イギリスはよく知られている通り、雨が頻繁に降るのですが、雨が降ると特にべビーカーのスペースがいっぱいでバスに乗れないことがあります。
突然の雨でびしょびしょになりなって待っているときに、『ノースペース!』とバスの運転手さんに冷たく言われ、いくつかバスをやり過ごすときなど、本当にどーんと悲しくなります。
因みに娘はベビーカー用のレインカバーが嫌いで、取り払ってびしょびしょになってしまうことがあるので、そんなときはさらに悲しくなります・・・」
食事の栄養バランスがよく彩りもきれい
「娘はときどき保育園でクッキーにアイシングをして、家に持って帰ってくるのですが、クッキーそのものがかなり甘くて、できればこういう味に慣れさせたくないなあと思ってしまいます。
それから、保育園での食事のメニューに、『スパゲッティ・オン・トースト』という聞きなれない料理名が書いてあったのでインターネットで検索してみたら、文字通りトマトソースのスパゲッティをトーストに乗せただけの食べ物で、ちょっとした衝撃でした。
また、ハロウィンのときに、娘が飾り付けをして持って帰ってきたクッキーもかなり衝撃的で、包みを開けた瞬間『ぎゃっ!』と思わず叫んでしまいました(笑)。よかったらご笑覧ください。
03 (C) Kana Ino
日本の保育園では栄養バランスや彩りに配慮した食事を出してくれると思うので、うらやましいなあと思います」
日本の子育てママさんたちに伝えたいことは?
「イギリスに来てできた私たちのママ友、パパ友の出身国はイギリスだけでなくチュニジア、クロアチア、インド、ヨルダン、ナイジェリアなどなど多様なのですが、みんなと話をしてみると、子どもの食べ物の好き嫌いのこと、夜子どもがなかなか寝てくれないこと、自分の時間がなかなか持てないことなど、私たちと同様の悩みを抱えながら、試行錯誤しながら子育てをしてるんだなあ、正解はないんだなあ、といつも思います。
イギリスは学校のレベルの差が大きく、希望の学校の学区内に住むために引っ越しをするのはよくあることなんだそうです。
また、家で学習する、ホームスクーリングをしている子の数も年々増えているそうです。
いろいろな選択肢がある上、うちではこれからも親の母国語であるフランス語と日本語を使っていく予定なので、子どもの反応を見つつ、もっと大きくなったら子どもと話し合いながら、試行錯誤でやっていく以外ないのだろうな、と思います。
でも、とにかく子どもがいつも笑顔でいられるよう、子どもが『楽しい!』『好き!』と思えることをずっと応援していってあげたいな、と思います」
日本と海外の子育ての違い【イギリス編】、いかがでしたでしょうか。
私たち日本人にとって、長く人気の高い旅先でもあるイギリス。
伝統と最先端、両方の文化に恵まれたおしゃれな国というイメージがありますが、実際にその地で子育てをしてみるとさまざまなことを感じるものなのだとわかります。
そして世界のどんな場所であっても、パパママたちが試行錯誤しながら子育てをがんばっているのだと知ると、何だか勇気づけられますよね。
参考サイト
[液体ミルクの解禁いつ? 安全データ検討 省令改正に時間|東京新聞]
[乳児用液体ミルクの国内販売、2020年解禁…五輪海外客に対応|YOMIURI ONLINE]
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